医学部医学科の学生が「デンマーク医療福祉研修」に参加しました

医学部医学科の学生が2月25日から3月2日まで、「デンマーク医療福祉研修」に参加しました。デンマークの医療福祉制度に関する学びを通して日本の医療政策や社会保障制度の強みと目指すべき方向性を考察するとともに、グローバルな視点を養うことを目的に、同国にある東海大学ヨーロッパ学術センター(TUEC)を拠点に実施しているものです。今回は3年次生2名と2年次生7名が参加しました。

学生たちは、一次医療を担う地域のクリニックやその組合組織を訪れ、家庭医の役割やデンマークの医療システムについて学習。デジタル庁や医学博物館、国立血清研究所のバイオバンク、国立衛生研究所も訪問しました。また、本学科との交換留学制度を設けているコペンハーゲン大学では、日本語を学ぶ人文学部の学生と交流。両国の出生率やデジタル化をテーマにプレゼンテーションして意見を交わした後、食事やゲームを共にして親睦を深めました。さらに27日には、TUECの堀真奈美所長が本研修に合わせて企画し、コペンハーゲン大学で開催したパブリックヘルスに関する公開セミナーにも参加。デンマークの公衆衛生局や産業経済金融省、ヘルスケア分野の研究者の講演を聴講し、ゲノムデータを活用した個別化医療への取り組みや医療資源の効果的な配分、国家的なライフサイエンス戦略に関する理解を深めました。

酒井優さん(3年次生)は、「最前線で診療に当たる家庭医から政府関係者に至るまで、さまざまな立場の方から話を聞くことができ、デンマークの医療制度を多角的に学べました。特に印象的だったのは、デジタル化が国民の日常生活に浸透していることです。病歴や処方歴などの個人情報も国が一括管理して効果的に医療に活用されており、患者さんと医療従事者の双方にとって精神的、物理的な負担が軽減されるだけでなく、疫学的な研究も進むといった大きなメリットがあると実感しました。日本においてもデジタル化を進め、よりよい医療を実現するためのシステムを構築したいという新たな目標ができました」と意欲を見せていました。

指導する加藤明准教授(基礎医学系生体機能学領域)は、「学生たちはどのプログラムでも積極的に質問するなど、熱心に取り組んでいました。文化や習慣の違いを体感しながら両国の保健医療や福祉制度への理解を深め、視野を広げられたと感じています。TUECでの生活も満喫し、仲間同士の絆を大いに深めたようでした。また、TUECのスタッフの皆さんをはじめ東海大に留学していた先輩との交流を通じて、脈々と受け継がれてきたデンマークと本学との歴史を肌で感じることもできたと思います。尽力してくださった堀所長とスタッフの皆さんに感謝します。学生たちには研修の学びを生かし、グローバルな視点を持った良医を目指してほしい」と話していました。