体育学部スポーツ・レジャーマネジメント学科の大津克哉准教授が、12月4日にJAPAN SPORT OLYMPIC SQUAREで開催された「スポーツと環境カンファレンス」(主催:公益財団法人日本スポーツ協会と公益財団法人日本オリンピック委員会)でオープニングレクチャーを務めました。スポーツに携わる指導者や選手、中央競技団体に加盟するスポーツ団体の関係者らが環境問題をはじめとしたSDGsの課題解決について考え、啓発・実践活動に関する最新情報を共有しようと毎年開催されています。

大津准教授は、「スポーツと環境―スポーツ界の持続可能性に向けて」と題して講演。「過去100年で世界の平均気温は、0.76度上昇しています。東京都に限ると、3.3度上昇しており、今以上に温暖化の対策をとらなかった場合2100年には世界の平均気温が4.8度上がるといわれています。気温の上昇はスポーツの現場にも大きな影響をもたらしており、夏場には関係者の熱中症が増加し、冬場には降雪量の減少・雪質の変化などが見られています」と語りました。温暖化対策として、世界トライアスロンシリーズ横浜大会やパリ五輪などで実施されたカーボンオフセット活動とSDGsアクションを紹介し、「アスリートが持つ社会への影響力は大きく、試合やレースだけでなく、日常生活でもフェアプレーが求められています。持続可能な社会づくりに向けて他人だけではなく、地球に対しても責任ある行動が必要になるでしょう」とまとめました。
その後、地方公共団体の関係者やオリンピアンを交えた「スポーツイベントにおける気候変動対策」のディスカッションも行われ、大津准教授も登壇。大津ゼミに所属する学生たちも会場準備やカンファレンスに参加し、岸駿人さん(3年次生)は、「持続可能な大会運営の必要性や選手だけでなく、観客にも意識向上を訴える必要があるという考えが印象に残りました。スポーツが環境保護に向けて大きな役割を担っていることを再認識し、今後に向けていい経験になりました」と振り返りました。
大津准教授は、「この30年で、さまざまな競技団体に環境担当が配置されるようになった一方、活動は初歩的な内容に限定されているのが現状です。パリ五輪をはじめ、海外大会では環境に配慮した大会運営がスタンダードになりつつあります。国内大会も問題意識を持つだけでなく、積極的な行動が必要です。競技団体としてのポリシーやコミットメント掲出や透明性と進捗を兼ね備えたビジョンやロードマップの策定が必要です。このような背景を抱える今、今回のカンファレンスは問題意識の共有や環境教育として非常に意義深いものになったと感じています」と話しました。



公益財団法人日本オリンピック委員会 カンファレンス報告:
https://www.joc.or.jp/news/20250107036265.html
公益財団法人日本オリンピック委員会「スポーツと環境」特設サイト:https://www.joc.or.jp/olympism/inheritance/eco/
公益財団法人日本スポーツ協会「スポーツと環境」特設サイト(啓発動画集):
https://www.japan-sports.or.jp/medicine/tabid1368.html