藤巻教授のゼミナールに所属する学生が特別養護老人ホーム第二森の里を訪問しました

政治経済学部政治学科の藤巻裕之教授のゼミナールに所属する学生が7月14日に、社会福祉法人神奈川やすらぎ会が運営する特別養護老人ホーム第二森の里を訪問しました。日本アジア人材開発事業協同組合(JAMAC)がサポートする外国人介護技能実習生の就労現場を見学するとともに、学生たちの研究発表の機会につなげることが目的です。

当日は初めに、神奈川やすらぎ会の西迫哲理理事長が社会福祉事業の人材の現状と課題 について講演。介護職に対する世間のイメージと改善方法を説明するともに、技能実習生の仕事への向き合い方について話し、「日本人の多くは与えた仕事を淡々とこなしますが、技能実習生は仕事を終えると“もっと仕事を覚えたいので次を教えてください”と言ってきます。このように行動を起こせるのは、目的意識がはっきりしていることが大きいと思います。皆さんも明確な目的を持ち、物事の先や状況などをよく考えて生活してください」と学生にメッセージを送りました。続いて、JAMACの横田裕専務理事と近藤麻紀子事務局が外国人介護人材の受け入れ制度やそのメリット、人権対応などについて紹介しました。その後は、学生らは昼食をとりながらベトナムから来ている技能実習生のニュンさんとフォンさんと交流。日本の印象や実習に来た経緯、文化の違いなどについて話し、交流を深めました。

昼食後は、藤巻教授による国家主導の「平和」と民間主導の「平和」の論理をテーマに短い講義があり、その後、学生2グループが研究を発表。「グローバリズム」をテーマとした研究を発表したグループは、技術の発達によって進んだグローバル化の歴史や今後予想される仮想区間での交流について紹介し、経済格差をなくすために世界がよりつながりを深めるべきだと提言しました。もう一方のグループは「権威主義体制」をテーマにした研究を報告。民主主義と権威主義を比較したメリット・デメリットを解説するとともに、それに伴う権力と貧困の関係性について発表しました。

学生からは「自分たちと年齢も変わらない人が異国の地で家族のために努力する姿に感銘を受けました」「オンラインではなく、実際に会ったからこその学びがたくさんありました」といった感想が聞かれました。藤巻教授は、「少子高齢化と外国人労働者の問題は日本だけの問題ではなく、世界的な政治課題です。政治学は社会的弱者を助ける学問であり、今回の交流を通して身近に現代社会が抱える課題があることを理解し、物事の見方や考え方の幅を広げてもらえたのではないかと思います。また、ゼミでは例年海外での調査・研究に取り組んできましたが、新型コロナ禍以降はこのような国際活動の機会が途絶えていました。オンライン以外での外部での研究発表は約2年ぶりとなるので、よい刺激にもなったのではないでしょうか」と話していました。