第5回政治学科研究報告会を開催しました

政治経済学部政治学科では2024年11月27日に、デポー大学(米国)の林彥瑜(イェン・ユー・リン)助教授(歴史社会学)を招き、第5回政治学科研究報告会を開催しました。本報告会は、学科内外での学術交流を促すために定期的に開催している研究会の一環として実施されました。平井新講師が企画の趣旨を説明し、講演や活発な議論への期待を語りました。

林助教授は「Colors of Empire: Visual Representations of Race in Colonial Taiwan(帝国の色彩:植民地台湾における人種の視覚的表象)」と題して英語で講演を行いました。報告では、日本帝国初の植民地である台湾における人種の視覚化について分析し、「同人種」帝国下での人種化システムの変容過程を説明しました。具体的には、絵画、肖像画、芸術作品、絵はがき、マスメディア画像等の視覚的アーカイブを分析し、戦前の帝国日本が植民地支配維持のために視覚文化を通じて「人種」を再定義した点を指摘。社会学の古典であるデュボイスのグローバルな人種的境界線理論を基盤としながら、東アジアにおける人種概念の独自性を検証し、米国における人種概念と異なる様相を明らかにしました。

報告後の質疑応答では、英語での活発な議論が展開され、教員や学生から多くの質問が寄せられました。本研究会は政治経済学部政治学科だけでなく全学部・学科に開かれた形で開催され、当日は国際学部、観光学部など複数の学部からも多数の教員が参加し、学際的な視点から活発な意見交換が行われました。

平井講師は、「今回の内容は、政治学のディシプリンとは異なりますが、海外大学の研究者との教育・研究交流は、学生にとっても教員にとっても、グローバルな視点での学びと研究の深化の重要な機会となると信じています。今後も、学内外に学際的なネットワークを構築し、教育研究の国際協働を積極的に推進していきたいです」と今後の展望を語りました。