数学科の長井講師が共著した論文が日本物理学会の注目論文に選ばれました

理学部数学科の長井秀友講師が共著した論文『Discrete and Ultradiscrete Periodic Phase Soliton Equations』が、日本物理学会が発行する月刊誌『Journal of the Physical Society of Japan (JPSJ)』の2019年3月号の「Papers of Editors’ Choice(注目論文)」に選出され、このほど同学会の編集委員会より表彰状が授与されました。神戸大学大学院理学研究科教授の太田泰広氏と、15年に亡くなった早稲田大学理工学部名誉教授の広田良吾氏との共同研究による成果をまとめたものです。

本論文のメーンテーマである「ソリトン方程式」は、形状を変えずに進行する孤立波「ソリトン」(例:津波、イオンプラズマ波など)を表す解を持つ方程式を指します。ソリトンは互いにぶつかっても形状を崩さずすれ違う性質を持っており、日本人研究者を中心に数理構造の解析が進められてきました。長井講師は、ソリトンをさらに拡張した現象が数式でどのように表せるのかを解明しようと、12年から研究に着手。ぶつかっても形状を崩さないというソリトンの性質を保ちつつ、周期的に形状を変えながら進行することができる解を持つ差分方程式が存在することを発見し、論文にまとめました。注目論文への選出について、「広田先生との共著論文を完成させたのは今回が初めてです。長い時間をかけた論文なので評価していただきとてもうれしく思います。本学科ではほかの先生方も積極的に学会発表や論文執筆に取り組んでいるので、いい刺激を受けながら研究を進めることができました」と語ります。また、「共著者である広田先生は、『広田の方法』と呼ばれるソリトン解を求める手法を発見したことでも知られるソリトン理論の第一人者。広田先生が残された“宿題”の研究課題はもう一つあるので、今後はそちらに取りかかっていきます」と意気込んでいます。

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