観光学部・黒崎ゼミの学生が実施した東京・亀戸でフィールドワークの成果を発表しました

観光学部観光学科の黒崎岳大准教授のゼミナールで学ぶ3年次生11名が、4月30日に東京都江東区の亀戸地域でフィールドワークを実施し、5月14日から28日にかけて授業で成果を発表しました。黒崎准教授のゼミでは、現場で求められる知識や能力を身につけることを目標に国内外の観光地や観光施設などを訪れ、3年次の春学期からフィールドワークを実践。今回は入門編として東京の下町で江戸時代から観光地として親しまれている亀戸地区をフィールドに、個別に気になる場面・場所を撮影したスナップ写真を観察し、想像力と社会学的な考察を働かせて映り込んでいる事象の背後に地域環境や時代性などを読み取り分析する「写真観察法」に取り組みました。

学生たちは藤まつりやこいのぼり祭りなどでにぎわう地域を訪れ、祭りや商店主、観光客などの様子を観察し、写真などで記録する「参与観察」を実施。伝統的な行事と外国人を含めた新たな住民との連携や、インバウンドなど新たな観光まちづくりについて考察しました。5月21日に品川キャンパスで実施した授業では、久保田結衣さんが商店街に鯉のぼりがはためく様子と亀戸天神の藤棚、北十間川の川面に移る“逆さスカイツリー”の3枚の写真を紹介。「近ごろあまり見かけなくなった鯉のぼりに懐かしさを覚えるとともに、お年寄りが多い地域性から伝統行事を大切にしている印象を受けました。一方で近代的なスカイツリーとの対比も興味深かった。亀戸地域は東京駅からのアクセスも良いので、新旧の魅力が混在する地域の魅力をSNSの活用などでさらにアピールできる可能性を感じます」と話しました。その後、学生たちは各々、鯉のぼりに関する思い出や記憶を披露。黒崎准教授は「鯉のぼりのように従来は各家庭や身近な地区の中で共有されてきた“集合的記憶”が、これからは地域のイベントなどを通じて日本の文化として観光資源になっていく可能性があります。また、誰かが偶然映した写真がインスタグラムの興隆とともに一気に知られるようになった“逆さツリー”のように、一人ひとりが名所を発信するようになっています」と解説しました。

続いて伊能凪一さんが、店頭に冷蔵庫やマットレス、自転車などが並ぶリサイクルショップの写真を紹介。「“ペイペイ”などキャッシュレス決済の表示があるので最近作ったはずなのにレトロな雰囲気の看板で、周囲の雰囲気に合わせているのかもしれないと思いました」と話しました。また、“逆さスカイツリー”と新しい観光スポット「梅屋敷」のやぐら型モニュメントの2枚を紹介し、「街中を流れる普通の川なのに、見たこともない建物がドンとあるだけで風景はガラッと変わる。やぐら型のモニュメントは周囲をビルに囲まれ、もし昔の人が見たらどう思うのかと思い、僕らがこれから未来の景色を見たときにどう感じるのかと考えました。予想以上に観光資源があることが分かり、亀戸地域の視点からどのようにマーケティングしていくかが重要だと感じました」と話しました。

黒崎准教授は、「見慣れた風景の中に違和感を見つけ、新たな魅力を発見すると同時に、地域住民へのインタビューや初めて会う人とのコミュニケーションなど、学生たちにとってフィールドワークの大切な一歩になりました。自ら街に出て観光客の視点として地域の魅力を知り、それをどのように伝えてアピールしていくのか、地域住民や観光客などさまざまな視点から考える力を、楽しみながら身につけてほしい」と話しています。