観光学部の小谷恵子准教授のゼミナールで学ぶ3年次生15名が、12月1日に東京都港区の日本電気株式会社(NEC)本社で開催されたワークショップ「新しい観光地を創る」の最終報告会でプレゼンテーションしました。このプログラムは、「社会価値創造型企業」を掲げる同社が、未来の価値創造を担う学生の成長を支援する取り組みの一環として実施したもので、小谷准教授のゼミでは地域経済の活性と関係人口創出を目指し、グループワークに取り組んできました。



学生たちは3名ずつのグループを構成し、10月からレクチャーや討議を重ねながら、それぞれ着目した地域のフィールドワークを実施。地域の隠れた魅力を探してアピールのポイントなどを考察し、実現への道筋を提案するプログラムに挑戦しました。最終報告会では各グループが発表。NECの担当者やオンラインで参加した専門家らと質疑を交わし、制作したポスターも披露しました。



最初にチームAが「物語とARの“かつしか計画”」をテーマに発表。「寅さん」や「こち亀」、町工場などで知られる東京・葛飾には魅力的な観光資源をつなぐ回遊導線がないといった課題を分析し、現実環境にデジタル情報を重ね合わせて表示する「AR」を活用してキャラクターによる地域案内やスタンプラリーを提案。参加体験によってシビックプライドの醸成を図り、地域活性の循環を起こす仕掛けづくりについて発表しました。チームBのテーマは「白金台を着物の街へ」で、統計データを基に人々が気持ちにゆとりをもって過ごせるという毎月第3土曜日を「白金台きものの日」と設定。着物と相性のよい街並みを生かしてインバウンドも見込みつつ、着物産業の活性化も図るためのタスクのスケジュールも提案しました。



チームCは「大宮魅力UP大作戦」と題して、来街者は多いものの観光への意識が低い地域課題について、盆栽や神社といった魅力を掘り下げ、発信することで好循環を生み出すアイデアを発表しました。チームDは、「横須賀市 地域資本を活かす『ゴジラ×防災×観光』提案」についてプレゼン。人口減少と高齢化といった地域課題へのアプローチとして防災と観光、ゴジラと浦賀、商店街と非常食などの資本を掛け合わせ、映画の『ゴジラ』来襲を災害として想定した避難訓練や商店街による非常食アレンジ企画などユニークな提案を繰り広げました。最後にチームEが、「謎解きin都電荒川線 この街の謎を解き明かせ!」をテーマに発表。都電荒川線(東京さくらトラム)の概要を説明し、謎解きイベントに沿線の見どころを生かして非日常を体験できる仕掛けを提案しました。



各グループ発表後には、NECの担当者や学生から「最もターゲットにしたい年齢層は?」「アクセスの悪さを克服するポイントは?」「インバウンドなどの来街者と地域住民との軋轢が起こった場合の対応は?」など活発な質問が寄せられ、議論が交わされました。NECの担当者からは、「発表がわかりやすくまとまっていて感心しました。一方で、人間はロジックだけではなく感情で動く部分も多いことを念頭に置き、今後もさまざまな取り組みを続けてほしい」と総評。小谷准教授は、「今後の課題として、自分たちの発表を聞いてくれた人がプロジェクトに参加してみたい、出資してみようといった気持ちになってもらえるよう、聞いた人の心を動かすプレゼンテーションを目指しましょう。今日の反省を次のチャンスにつなげてほしい」と話しました。



