教育研究上の目的・人材像

教育方針と教育目標

二十世紀終盤から今世紀にかけて、生物学およびその学際的科学の果たす役割の重要性は、科学技術と多様な産業において急速に拡大した。遺伝子資源と生物資源の開発と技術の発展、生物多様性の適切な管理、持続的食糧生産といった課題は、生物学各分野の進展と共に社会においてますます注目を集めている。

生物学科の教育内容は、分子・細胞レベルから個体群・生態系レベルに至る広範な領域を、生命科学系と自然生態系に体系化して構成されている。遺伝子の利用、生物を用いた実験等における生命倫理を理解し、自然の成り立ちと人間の関わり方を考える態度を重視する。そして生物の機能を理解し、地球環境を考慮した生物資源開発への応用、生物多様性等の自然環境管理について、実験・実習、フィールド調査等を通じて学習する。特に生物分野においては、基礎的分野と応用的分野の幅が広く、それらが有機的に連結した体系の中で専門性を修得していく教育体系が望まれる。本学科は、単に生物学の各分野を並列させるのではなく、社会が求める生物科学の技術の修得を重視し、基礎から応用へと学習を発展させるカリキュラムとなっている。また、専門分野と情報処理やコミュニケーション能力等の体系的学習を通じて、社会人に相応しい実践力を身につけた、実社会で活躍できる人材を養成する。専門と直結する職業としては、食品や医薬品の製造および分析、環境調査、自然保護業務、エコツーリズム、環境設計、博物館学芸員、理科教員などであるが、生物に関する専門性をもった人材の必要性はその他の業種においても広がってきており、それに応える教育内容となっている。

本学科のカリキュラム・ポリシーは、以下の力・スキルを授業で育成することである。

  • 生物の知識から自然・環境・生命のあり方を総合的に理解できる力
  • 実験やフィールド観察での発見を分析し、説明し、応用することができる力
  • 生き物に関する技術・知識を計画的に修得し、学修成果を進路・職業につなげる力

そのため、本学科のカリキュラムは、生命科学系と自然生態系の2分野から構成されている。その教育内容の特色は以下のとおりである。

生命科学系

生物学の専門分野のうち、分子生物学、細胞科学、バイオテクノロジー等の分野の科目で構成され、それらの専門知識を修得する講義科目と実験系の分析技術を修得する実験科目が設定されている。講義科目は2、3年次での履修を基本とし、実験科目は3年次に学生の興味に応じ「生命科学専門実験A~D」を履修できるようにカリキュラムが組まれている。さらにバイオ技術を習得するために「バイオテクノロジー実験」と「分子・遺伝子系実験」が集中的な授業として設定され、より高度な内容を身につけることができるよう配慮されている。

自然生態系

生態系を構成する動物、植物などの「役割」や「生活」、その生息分布や行動生態などについて、フィールド中心の実践的な学習を行う。現在、世界的にあるいは日本において、いろいろな動物や植物の減少と絶滅が危惧され、生物多様性保全の重要性が大きくなってきている。そのためには自然と人間の調和のとれた共存の姿が求められるが、そのための活動の一つ一つは、生物それぞれの種の生態、生活を調べるところから始まる。一方、リモートセンシングやデータ解析技術の急速な進展によって、野生生物の調査・研究とその応用分野は広がり続けている。自然保護行政や環境アセスメント、自然の利活用、環境教育など、貴重な自然や身近な自然の現場で活躍するための能力を身につけられるような科目構成となっている。

生物学科が養成しようとする人材

生物学科は、遺伝子・細胞に関する技術や生物多様性保全・管理といった、急速に人材の必要性が広がりつつある分野に人材を供するべく、生物学の基礎知識を持ち、人と自然の調和を意識して活躍できる人材を養成する。また、生命倫理や人と自然の調和といったことへの広い見識をもつと共に、生物科学各分野の基礎と応用、実験・調査技術を体系的に学び、理系にふさわしい社会人としての資質も身につけた専門職業人としての技術者を養成する。「生命のしくみ、分子・細胞を知り活用する」、「自然のしくみ、生態・生物多様性を知り共存する」などを教育課程の中心とした科目編成により、生物に関する知識と技術を十分に修得し、社会の中で率先して生物の持続的利用と自然環境維持に貢献できる実践力の涵養を人材養成の目標とする。

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