教育研究上の目的及び養成する人材像
生物学部生物学科の教育研究上の目的は、大学・学部の教育目的に沿って、分子・細胞レベルから個体群・生態系レベルに至る広範な生物学と生物に関する知識と技術を修得し、社会の中で率先して生物の持続的利用と自然環境維持に貢献できる実践力をもつ人材を養成することです。そのため、生命倫理を理解し、自然の成り立ちと人類の関わり方を考える態度の醸成を目指します。そして、実験・実習とフィールド調査等を通じて、生物の機能を総合的に解明して応用できる能力をのばします。
3つのポリシー
1ディプロマ・ポリシー
生物学部生物学科では、以下の能力を備えたと認められる者に学位「学士(理学)」を授与します。
知識・理解
生物学の基礎知識を持ち、自然・環境・生命のあり方を総合的に理解・表現する能力を有している。個別分野の知識レベルとして、バイオ技術者認定試験、生物分類技能検定、自然再生士補などの資格・検定を取得できる能力を有している。
汎用的技能
生物に関する実験やフィールド観察での発見を分析し、説明し、生活や産業活動に応用できる。
態度・志向性
生物に関する知識と利用・応用技術を十分に修得し、社会の中で率先して生物の持続的利用と自然環境維持に貢献できる。
2カリキュラム・ポリシー
生物学部生物学科が定めるディプロマ・ポリシーに基づき、以下に示す教育課程を編成し、実施します。
教育課程・学修成果
生物学部は、陸上と海洋の生物を対象とし、実験系分野とフィールド系分野をともに有しています。そして、生命・自然に関する文理融合の学際的知識と専門知識・技術を主体的・複眼的に活用して、課題に自ら取り組み解決する能力の育成を目指します。学部共通科目はこのうち「文理融合の学際的知識」の養成に主に関わり、教養教育として「生命倫理」「科学英語」を選択科目として開講し、さらに「統計・データ分析法」といった理系のリメディアル科目も置いています。キャリア教育としての「インターンシップ」は、大学のキャリア支援部局との協働により実施されます。その他、生物学部共通に主専攻科目として、「生物学」「化学」「物理学」「数学」等の理系の基盤となる講義科目と実験科目、情報、教職関係科目も開講しています。また初年次教育としての「入門ゼミナールA」「入門ゼミナールB」では、大学での学習環境・習慣に早く慣れ、大学独特の学修方法を知る内容となっています。
生物学科では、分子・細胞レベルから個体群・生態系レベルに至る広範な生物学と生物に関する広範な領域の知識と技術を習得するために、専門教育のカリキュラムを生命科学系と自然生態系に体系化して構成し、各自の学習過程を認識しやすく配置しています。また、「卒業研究1」「卒業研究2」そして各学年での演習やゼミナールの科目により学修成果の確認をすることができます。このように生物学科では4年間を通じて、能動的学修につながる科目体系を構築しています。
【生命科学系】は、分子生物学、細胞科学、バイオテクノロジー等の分野の科目で構成され、それらの専門知識を修得する講義科目と実験系の分析技術を修得する実験科目が設定されています。講義科目は「生体物質の化学」「細胞生物学」「遺伝子とタンパク質の科学」「分子生物学」「遺伝子工学」「微生物学」「動物細胞科学」「食品科学」などを配置し、生物学の基礎と応用を学習します。実験科目は2年次に「生物学専門実験1」「生物学専門実験2」で実験の基本技術を修得した後、学生の興味に応じて、「生化学実験」「分子遺伝・分子生物実験」「環境科学実験」を履修することで、より高い専門性を身につけます。
【自然生態系】は、生態系を構成する動物、植物などの役割や生活、その生息分布や行動生態などについてフィールド中心の実践的な学習を行います。現在、色々な動物や植物の減少と絶滅が各地で危惧され、生物多様性保全の重要性が謳われています。自然と人間の調和のとれた共存の姿が求められていますが、それは、生物それぞれの種の生態や生活を調べることからはじまります。講義科目には「北海道の野生生物」「基礎生態学」「北海道の環境と保全」などの科目で基礎知識を確実なものとし、「動物生態学」「植物系統分類学」「野生生物調査法」などの科目で広い分野の知識を得、実習科目では、2年次に「生物学専門実験1」「生物学専門実験2」で調査の基本技術を修得した後、「分子系統学解析実習」「野生生物調査実習」「亜熱帯生態系フィールド実習」「亜寒帯生態系フィールド実習」などの科目で、自然の中での多様な動植物生態について調査研究での取り扱いについて学びます。
生物学科では、これらの科目についての学修順序、科目学修分野、学修時期(推奨セメスター)などについての指標をカリキュラムツリーとして提示しています。
学修成果の評価方法
本学科のディプロマ・ポリシーに示されている「知識・理解」「汎用的技能」「態度・志向性」に関して、ルーブリックによる観点別評価、修得単位数・GPA による分析評価、授業についてのアンケート等を用いた学生による自己評価により、学修成果の評価を行っています。その集計結果は、FD活動等をとおして教育の質向上のためのPDCAサイクルにつなげています。
3アドミッションポリシー
生物学部生物学科の教育研究上の目的及び養成する人材像を理解し、これらを達成するために自ら学ぶ意欲を持った人を求めます。
求める学生像
生物学部生物学科で定めている学位授与のために求められている能力を身につけることが期待でき、基礎学力が十分にある人材。
入学者にもとめる知識・技能・思考力・判断力・表現力・態度
(1)知識・技能
英語では、高校での英語の科目の履修を通して英語の文章理解力、表現力、コミュニケーション能力を身につけておくことが望ましい。
理科では、高校での生物、化学分野の科目履修を通して学科の専門内容に関する項目を理解していることが望ましい。
国語では、高校での国語の科目の履修を通して日本語の運用に習熟し、読み聞きした日本語の内容を的確に理解し、また表現したいことを精確に記述し話せることが望ましい。
数学、社会、理科等の生物以外の科目の知識を幅広く理解していることが望ましい。
(2) 思考力・判断力・表現力
生物学の基礎知識を基に自然・環境・生命のあり方を総合的に理解し、さらに、自らの理解を外部に発信する意欲を持つことが望ましい。また、文理融合の観点から、理系の知識・技能と文系の知識・技能を総合して応用できることが望ましい。
(3) 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
自らの興味を他者と共有し、物事に対して挑戦的に取り組むことや、多様な価値観を理解し、友好的な人間関係を築くことにより目標を実現しようとする意識を持っていることが望ましい。