教育研究上の目的・人材像

海洋生物科学科の背景

食糧問題と海洋

いま世界の人口は70億人に達しています(2011年世界人口白書)。そして今後世界の人口は、2050年に93億人、2100年までには100億人を突破すると見込まれています。こうした中では、高齢化対策や水・食糧の安定確保、地球環境の保全が最重要課題となってきます。海洋を中心とした水域は地球表面の7割を占めます。ですから水域の動態は、地球環境を考える上で重要となります。さらに海洋は、地球全体の生物量の9割以上を育みます。ですから海洋の生物は、我々の食糧を考える上でも重要となります。

環境問題と海洋

この爆発的に増加する人類によって、水域の生物や生態系は脅かされています。温暖化による大規模な環境の変化はもとより、漁業による乱獲、外来種の拡散と増加、産業排水や家庭排水による沿岸の汚染、水域の人工的な変更による生態系の破壊など多くの例があげられます。

わが国周辺の生物資源

わが国の近海は世界的に見ても種の多様性が高い海域で、地球上の全ての海洋生物種数のおよそ15%がここに分布しています。このような生物資源は、われわれの食糧資源としても重要です。日本人は一人当たり1日、摂取する動物性タンパク質のおよそ4割を魚介類にたよっており、わが国は世界の中でも食糧を水産生物に依存している国だといえるのです。

水産物供給基地としての北海道

北海道は、太平洋、オホーツク海、日本海とそれぞれ特徴のある海に囲まれています。広大な内陸の豊かな自然にも支えられ、これらの海からの生物資源はわが国第一位の漁業生産を支えています。ナマコやマツカワなどの種苗生産や放流、カキやホタテの養殖も盛んに行われており、漁業を支える増養殖技術もすすんでいます。しかしその一方で、漁業就業者の減少・高齢化や生産額の低迷などの社会的な問題も抱えています。

生態系を知る場所としての北海道

黒潮や親潮が流れたり流氷が到来したりする特徴的な海をはじめ、河川や湖など北海道の豊かな自然のもとで、様々な生き物で構成される種々の生態系が育まれています。親潮に含まれる豊富な栄養に支えられた大量のプランクトンをはじめ、それらを餌とする様々な魚類、沿岸近くまで回遊してくるイルカやシャチなど北海道は観測や調査の対象には事欠きません。

教育方針

水産資源を増やすためには環境や生態系を理解することが不可欠です。狭い範囲の専門的知識や技術にとどまらず、海洋や水産、生物に関係する知識や技術を相互に関連づけて幅広く学んでください。

すなわち、「海を知り(水域の環境・生態系の専門知識を身につける)、 海を活かす(増養殖・流通加工の技術を培う)」キーワードに教育展開します。

魚だけ知っていれば良い、北の海だけ知っていれば良い、授業を聞いて本を読めば良い、それでは実践的な知識や技術は身に付きません。学問の枠を超えて、総合的、多面的な視野をもてるような教育を実践します。

教育目標

海洋生物科学科は、北海道や沖縄の水域を利用してフィールド実習を行います。また北海道の産業を対象として講義や実習を行います。さらに北海道を中心に、調査や研究を行います。

このようにフィールドでの体験実習を主体に、水産資源生物やそれをとりまく環境の理解をとおして生態系を総合的に理解できる力を身につけることが一つめの教育目標です。さらにフィールド実習や研究、技術開発への参加を通じて、地域の産業に関わると共に、得られた専門知識と技術の応用力、創造力を養います。つまり、水産や環境・生態系にかかわる問題を自ら設定し、解決へつなげることができる力を身につけることが二つめの教育目標です。そして水産や環境・生態系調査に関する技術・知識を計画的に学修し、その成果を自分の進路や職業につなげることが三つめの教育目標です。

具体的な教育内容

海を知り、海を活かすために、実際に行う教育の内容です。これらの内容は北海道の豊かな自然を材料として実践されます。

  1. 1.海洋や河川の生物について知る
  2. 2.海洋や河川の生態系と環境について調べる
  3. 3.海洋や河川の水産資源を維持し増やす
  4. 4.水産資源を利用する

海洋生物科学科が養成しようとする人材

端的に言えば、「海を知り(水域の環境・生態系の専門知識をもち)、海を活かす(増養殖・流通加工の技術を生み出し、応用する)力」を持った人材の育成です。

たとえば水産加工や流通にかかわる仕事であっても、環境問題が水産物へどう影響しているのかという知識を持っていることは大きな強みです。海洋生物科学科はこうした総合的な視点で海洋や河川・湖沼の生物、さらには産業や社会を見ることのできる人材を育成します。

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