工学部の福田准教授らが湘南キャンパス2号館大ホールの換気の解析を行いました

2020年11月19日

工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻の福田紘大准教授と福田研究室に所属する武藤創さん(大学院工学研究科1年次生)がこのほど、湘南キャンパスのもっとも広い教室である2号館大ホール(2S-101室)の換気状況を解析しました。本学では新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて春学期はすべて遠隔での授業としましたが、今秋学期では対面形式の授業も再開することから、山田清志学長のリーダーシップのもと大学運営本部と教学部が安心・安全に授業を受けられる環境づくりにつなげようと計画したものです。本学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクトのソーラーカーチーム監督を務めるとともに、マシンの空力開発などを担当してきた福田准教授と、昨年度までソーラーカーチームの学生リーダーを務め福田研究室に所属する武藤さんが解析を担当しました。

福田准教授と武藤さんは、解析に先立って大ホールの換気能力を確認。空調設備の吸込と吸出性能のデータの取得やホールをCADモデルで再現するなどの準備に取り組みました。解析作業では、ソーラーカーチームにおける空力解析でもサポートを受けている株式会社ソフトウェアクレイドルの流体解析ソフトウェアを活用しつつ福田研究室の高速演算サーバーで解析を進めていきました。「解析規模の制約があるため、時間変化は再現しない"定常"での解析としましたが、大まかな空気の流れの把握は十分に可能です。そのうえで、室内に空気を送り込むファンと流出させるファンの配置や台数を検討し、さらに家庭用扇風機を配置した場合など複数パターンでの解析を進めました」と福田准教授は語ります。

計算の結果をもとに室内の空気の流れをアニメーションで再現するとともに流速などの分析を繰り返し、さまざまなシチュエーションを再現。室内の断面ごとの流速分布も可視化してホール内の空気の動きを解明しました。その結果、ビッグファンと扇風機を設置した一定の条件を満たすことでホール内1、2階の中央部に風を流動させることができ、間隔を空けて着席すれば感染のリスクを抑えられるとまとめ、1、2階の左右側面付近と3階の風速は低く、これらの場所の使用は避けることが望ましいと提言。さらに、解析規模や精度が限られているため、実際に使用する際には念のために現地で流動を確認する必要があるほか、ビッグファン以外の開放部からの風の流入や流出、さらにはファン周辺の循環流が影響するため、この抑制対策も講じる必要があると指摘しました。

武藤さんは、「多様な条件を設定したため、計算や可視化に時間を要することもありました。ただ、作業自体はこれまでソーラーカーの開発や学部、大学院での学びの経験を生かし、その土台がある状態で仮説を立てながら進めたことで、効率よくできたのではないかと考えています。今回の解析は私たち学生が安心を得るための一助になると思いますが、若手技術者の一人としてその役に立つことができてうれしく思います。また、私自身にとってもいい経験になりました」と話しています。

福田准教授に解析を依頼した教学部の杉山太宏次長(工学部土木工学科教授)は、「9月に挙行する秋学期入学式の会場として2号館大ホールの使用が検討される中、ソーラーカー開発を通じて送風ファンなどにも詳しい大学運営本部の木村英樹副本部長(工学部電気電子工学科教授)とも相談し、感染対策の一環として空力開発が専門の福田准教授に依頼しました。今回の解析結果を医学部付属病院の専門医である梅澤和夫准教授(医学科総合診療学系救命救急医学)とも共有し、8号館や11号館など、広さはあるものの換気が懸念される教室を中心に、安全を確認したうえで使用できるようプロジェクトを展開していければ」と話しています。

また、梅澤准教授は、「新型コロナは40%の人が無症状(無症候患者)で、50%の感染者は無症候患者から感染すると言われています。特に20歳台は無症候患者が多く、学生の皆さんが集まることにより感染が拡大(クラスター発生)するリスクがあります。新型コロナは、接触感染、飛沫感染、エアロゾル感染で広がりますが、接触感染と飛沫感染は、マスク、手洗い、ソーシャルデスタンスを保つことにより防げます。エアロゾル感染の予防には、空間の換気、気流の制御が大切であり今回のように大学としても科学的検証を行い、エアロゾル感染を防ぐ手段を講じています。また、20歳台と同居の高齢者の新型コロナ感染リスクは、非同居者の3倍になるとの研究結果もあり、20歳台の感染を抑えることは社会全体の新型コロナ増加を抑制する手段の一つになります。自分自身を新型コロナ感染から守ることが社会全体での新型コロナを増加させない第一歩であり、一人の行動が皆の健康につながります。学業に、感染防御に精進し『Withコロナ』の時代を先駆けて進みましょう」と呼び掛けています。

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