デイリーレポート

DAIRY REPORT

大会に向けてのチームの取り組みや、現地の様子をご紹介します。

2015年10月25日

ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジの最終日にあたる10月25日、東海大学チームはアデレード市内で行われたパレードと表彰式に参加しました。

レースのフィニッシュ地点であるビクトリア・スクエアから1kmほど離れたビクトリア・パークまでの区間で行われたパレードには、この日までにゴールした全チームが参加。ステアリングを握った高柳光希さん(電気班兼ドライバー・工学部精密工学科3年次生)は、「チーム一丸となって戦ってきたこのマシンが、オーストラリアで走る最後の場面で運転を任されたことはうれしいですね。無事に走り切るのはもちろん、楽しくドライブしたい」と笑顔を浮かべていました。
午後3時にスタートしたマシンは、警察のパトカーに先導されながら2列の隊列を組んで走行。沿道に詰めかけた市民からの声援に手を振ってこたえながら、時速10kmから15kmの速度でゆっくりと走っていきました。

パレード終了後は、マシンをトラックに積み込む作業も実施。東海大チームが整備をしていると、他チームのメンバーが見学に訪れ、学生に機械や電気系の部品について熱心に質問してくる姿も。木村英樹総監督(工学部教授・チャレンジセンター所長)は、「チームによっては技術を公開していないところもありますが、私たちは質問があれば積極的に情報を伝えるようにしています。それによって全体のレベルが向上し、ソーラーカーの実用化や再生可能エネルギーの普及に一歩でも近づくことを願っています」と、学生とともに技術的な質問に丁寧に答えていました。

表彰式は、午後6時からアデレード・エンターテインメント・センターで開かれ、各チームの学生やスタッフ、大会関係者が参加しました。オーストラリア先住民の踊りが披露され、大会のダイジェスト映像が流されたのち、大会運営責任者のクリス・セルウッド氏が、「ここに参加した皆さんは、オーストラリアの大地で人生を変えるほどの大きな経験をしたと思う。またぜひこの大会に帰ってきてくれることを期待しています」と語りました。その後、特別賞や各クラスの受賞チームを順に発表。総合3位の東海大学チームの名が告げられると、会場から大きな拍手とエールが沸き起こり、チャレンジャークラスのメーンスポンサーであるシュナイダーエレクトリックの担当者からチームマネージャーの大塚隆司さん(大学院工学研究科航空宇宙学専攻1年次生)に地球儀をあしらったトロフィーが手渡されました。

7日間にわたった大会を振り返って大塚さんは、「デルフト工科大学の優勝を聞いた時は、悔しさよりもすごいチームだという尊敬の念が沸いてきました。マシンの性能では劣っていなかったけれど、チームの総合力で負けてしまった部分があると思う。それを解決するために必要なことをもう一度考え直し、後輩たちにはぜひ彼らと同じ場所に立ってほしい。そして私自身も、これからもソーラーカーにかかわっていきたいと思います」と将来の夢を語りました。木村総監督は、「会場から大きな拍手と温かい歓声をもらえたことは、私たちがレースを戦うだけでなく、国際交流をしっかりしているチームとして認められている証だと感じました。今回は3位という結果に終わりましたが、ソーラーカーレースはこれからも続いてきます。東海大が次回こそは優勝できるよう、しっかりと頑張っていきたい」と話しています。

パレードの人々の様子
ソーラーカーとパレードの人々の様子

マシンを整備している様子
ソーラーカーに人が乗っている様子
東海大学のメンバーがヘルメットを装着する様子
マシンが走行している様子
マシンが走行している様子
表彰式の様子 トロフィーを掲げている
表彰式の様子 東海大学のメンバーたちが壇上にあがっている
表彰式の様子 東海大学のメンバーの一人がマイクで話している様子
表彰式で手渡された、地球儀をあしらったトロフィー

2015年10月24日

東海大学チームは昨日に引き続き、ブリヂストン・ワールド・ソーラーチャレンジのフィニッシュ地点であるアデレード市内のビクトリア・スクエアでマシンを展示しました。

大会6日目の今日は土曜日ということもあって、地元の子どもたちを対象にしたミニソーラーカー大会やソーラーカー工作教室など、さまざまな大会関連イベントがビクトリア・スクエアで行われ、多くの市民でにぎわっていました。その合間には、東海大チームと同じチャレンジャークラスや、実際の自動車を模したマシンの性能を競うクルーザークラスに出場した台湾やマレーシア、ドイツ、日本、地元オーストラリアなどのチームが続々とゴール。各チームがフィニッシュ地点に到着するたびに、大きな歓声が沸き上がっていました。

そうしたなか、東海大チームのブースにも多くの市民が来訪。マシンだけを展示して説明員を置かない大学や来場者がマシンに触れることを禁止するチームもある中、東海大チームは毎日交代で学生たちが常駐。来場者から、「ものすごく興味深いマシンね。とてもきれい。これからも頑張ってください」と応援されたり、「雨が降ったらどうするの?」「太陽電池の性能はどのくらい?」「コックピットの中は暑くないの?」といった質問に対応したりと、忙しい時間を送っていました。小さな子どもが来場した際には、希望を聞いてコックピットに座らせて記念写真を撮るサービスも実施。小寺佳久さん(工学部動力機械工学科2年次生)は、「僕たちはレースで勝つことを目指すだけでなく、再生可能エネルギーの普及活動にも力を入れています。もちろんマシンも大切ですが、せっかく来てくれた人に楽しんでもらいたいので、以前から国内のイベントでも乗車体験をやってきました。それは国際大会でも変わらない伝統ですね」と笑顔で話していました。

ブースには、地元在住の日本人で今回出場だった地元アデレード大学チームのスタッフとして参加した方も奥さまと一緒に来訪。「東海大の活躍は以前からずっとチェックしてきました。同じ日本人のチームが世界のトップクラスで頑張っていることは、こちらに住んでいる私たちにとってとても誇らしいこと。レース最終日のゴール間際で3位に上がったと聞いた時は、本当に心が躍りました。私の大学のチームはまだ誕生したばかりですが、東海大も参考にしながら、いつかトップ10に入れるよう僕たちも頑張ります」と話していました。

説明の合間には他チームのブースを訪れて、各チームが用いている技術のコンセプトや概要などについて意見を交換。花房裕槻さん(工学部動力機械工学科3年次生)は、「英語での説明に慣れておらず緊張しますが、たくさんの人が来てくれるのはそれだけ多くの人が私たちのことを認めてくれている証拠なのでうれしいきもちでいっぱいです。外国のチームの中にはわたしたちにはない発想でマシンを作っているところもあり、とても刺激になります」と目を輝かせていました。また松下知徳さん(工学部機械工学科3年次生)は、「片言の英語でも会話は弾むのですがもっとうまく、正確に伝えられる英語力があったらと痛切に感じています。デルフト工科大学やトゥエンテ大学など世界トップチームの人とマシンの専門的な事柄についてより深く話せるよう、帰国してからもう一度勉強し直したい」と、新たな目標を語っていました。

マシンの展示 東海大チームがマシンの説明をしている様子
イベント広場 ミニそーラ=カーと一緒に子供が走っている
ミニソーラーカー大会の様子

2015年10月23日

ブリヂストン・ワールド・ソーラーチャレンジのスタートから6日目、参加チームが続々とアデレード市内のビクトリア・スクエアにフィニッッシュ。同じ会場で、すでにゴールしたチームのマシンの展示が行われています。

会場には、昨日総合3位でゴールした東海大学チームのマシン「Tokai Challenger」も展示されており、学生たちや福田紘大監督(工学部准教授)が説明員として待機。パンフレットやチームのグッズを使いながら来場者にマシンの特徴や太陽電池の性能を解説していました。ダーウィンからアデレードまで4日半ほどで帰ってきたことを話すと思わず目を丸くしたり、ファンの方がチームのユニフォームをまねた自作の服を着て来訪したり、長時間にわたってさまざまな角度からの質問を投げかける人がいるなど、本学のブースには常に人だかりができていました。また、ライバルチームやソーラーエネルギー関連の企業関係者も訪れ、互いの技術や今後の連携に向けた意見交換。オランダ・デルフト工科大学をはじめアメリカのミシガン大学、スタンフォード大学などの欧米チームの学生は1年から1年半休学し、大会前に7,000kmから8,000kmに及ぶテスト走行を重ねるなどマシン開発に時間をかけている中、本学の学生は授業のかたわら2回ほどのテストで大会に臨んでいると聞くと、多くの企業の力を借りながら短期機関で完成度の高いマシンを作っていることに「アメイジング!」と驚いていました。

説明員を務めたアナス・アルモアッライさん(マネージャー補佐・大学院総合理工学研究科1年次生)は、「他チームの学生と情報交換できるだけでなく、一緒にマシン開発のプロジェクトを進める新たなパートナーを見つけためにもとても有意義です。今日も、多くの企業の担当者にブースを訪れていただき、今後の連携の希望も寄せられました。地元の方に、私たちの活動を知っていただくうえでもとても貴重な機会だと思います。日ごろから再生可能エネルギーの普及に向けた啓発活動に取り組んでいる私たちにとって、こうしたイベントはとても重要です」と話し、来場者に丁寧に対応していました。

一方、展示場の近くにあるビクトリア・パークでは、学生たちが帰国に向けた準備を進めていました。トヨタ・オーストラリアからご提供いただいた指令車や先導車などのサポートカーや日野自動車株式会社のトラックから、スポンサー各社のロゴの入ったステッカーや無線機、警光灯などを取り外して洗車。学生たちは、「赤土にすっかりまみれた車を見ると、3,000kmも良く走ってくれたと思います。各企業の皆さんのご協力に報いるためにも、きれいにしてお返ししたい」と、作業を進めて片づけを終えました。その傍らでは、レース中に使用したキャンプ用のテントや寝袋、マシンを整備するための工具類をてきぱきと整理。入国時に作ったリストと照らし合わせながら、きちんと輸送品がそろっているかをチェックしていました。橘瞭汰さん(ロジスティクス班・工学部動力機械工学科3年次生)は、「大会中は皆の荷物を運ぶトラックに乗っていたので、電気班や機械班など整備する人たちのバックアップがメーンでしたが、ここからは私たちの担当です。一緒に戦ったマシンや皆の荷物をしっかり日本に送り届けます」と笑顔で話していました。

マシンの説明する様子
マシンの説明をする様子
マシンの説明をする様子
ハグをするメンバー
マシンを囲むファンの方々
帰国に向けた準備の様子
帰国に向けた準備の様子
帰国に向けた準備の様子
帰国に向けた準備の様子

2015年10月22日

前日にスタートから2,745kmの地点でキャンプを張った東海大学チームは、朝から雲が垂れ込める厳しい状況でしたが、できる限りの時間を使って充電。そして午前8時5分にスタートして、アデレード市内中心部にあるビクトリア・スクエアのフィニッシュ地点を目指しました。前方を走るミシガン大学とはスタート時点で約20分(約30km)の差がありましたが、出発直後から徐々に差を詰める展開に。制限速度ぎりぎりのスピードで追い上げていき、午前10時35分ごろにミシガン大をパス。そのまま、10時45分ごろに順位が確定するポイントを通過しました。その後、マシンはビクトリア・スクエアまで移動。先に到着していたメンバーに迎えられてフィニッシュゲートをくぐると、会場に集まっていたライバルチームや市民から、健闘をたたえる大きな拍手と歓声が沸き起こりました。

集合写真
マシンを囲むスタッフ
走行中のマシン
走行中のマシン

2015年10月22日

ブリヂストン・ワールド・ソーラーチャレンジは4日目を迎え、いよいよ終盤戦にさしかかりました。東海大学チームは、まだ真っ暗な朝5時に起床。3日目までは25℃をこえていた朝の気温が14℃ほどまで下がりめっきり冷え込む中、学生たちは長袖の上着を着て作業を進めました。山之内七海さん(機械班・工学部動力機械工学科1年次生)は、「ここにきて急に気候が変わり、ずいぶんと南に移動してきたのだと実感しています。ゴールまであと少し。寒さに負けず頑張ります!」と、力強く話していました。一方、大瀧要さん(電気班・工学部動力機械工学科3年次生)は、「これまで電気系統には大きなトラブルもなかっただけに、(一昨日と昨日に合せて25分の)ペナルティを受けた分遅れてしまったことが残念でなりません。今日こそは完璧な仕事をして、少しでも前のチームに追いつきたい」と、悔しさをにじませながらも気を引き締めていました。

最初にハンドルを握ったのは、今大会の東海大チーム初の学生ドライバーとなる喜多洸介さん(工学部動力機械工学科1年次生)。高校生の頃からソーラーカーレースのドライバーを務め、「強いチームで戦いたい」と東海大学に進学してきました。将来を担うドライバーに経験を積ませたいというチームの判断で抜擢され、「今回の遠征参加にあたっては家族だけでなく親戚も応援してくれました。今日のドライビングには、学生ドライバーのプライドと信頼がかかっていると思う。支えてくれる多くの人の応援に応えるためにもミスなく走り切りたい」と、力強く語っていました。そして迎えた8時2分。出だしこそ路面の砂にタイヤを取られて滑ってしまう場面がありましたが、その後はスムーズに運転。平均風速7mの風が正面や横から吹きつける難しいコンディションにもかかわらず、遅い一般車両の追い越しも難なくこなして第7コントロールストップ(CS)のクッパーペディに到着しました。運転席から降りたあと、仲間から「お疲れさま」の一言をかけられた喜多さん。「風にあおられてドライビングが難しい場面もありました、しかしドライビングを楽しめる、あっという間の50分間でした」と笑顔を浮かべていました。

クッパーペディでドライバーを喜多さんから三瀬剛さんに交代。その後もマシンは順調に走行していきました。第8CSのグレンダンボで三瀬さんから佐川耕平さんにスイッチ。その間、パンクなどのトラブルに見舞われたこれまでの3日間が嘘のように全くトラブルが起きることなく走っていきました。グレンダンボを過ぎたあたりからはそれまでの真っ赤な大地に低木が広がるだけだった景色が一変。緑の生い茂る木々や黄色い花をつけた植物が点在し、イーグルやエミュー、ディンゴ動物が道路わきに顔を出すなど自然豊かな風景に変わっていきました。その中を、長い直線や緩やかなカーブを平均時速95kmほどで通過していきましたが、CSを経るごとに少しずつ前を行くミシガン大学からの差が広がっていく展開に。学生たちは、「今日はCSでミスもないのに追いつけないのがもどかしい」と口をそろえていました。それでも「すこしでも時間を稼ぐためには、より早く正確に動くだけ。あとはドライバーを信じるのみです」と語り、いずれのCSでもスタートの数分前には発車の体制が整うほど迅速に作業を終了。それでも、第9CSのポートオーガスタ(スタートから2,720km地点)に着いた頃には、昨日の第8CS・グレンダンボで15分だった差が20分に広がっていました。

そんな中、ポートオーガスタには現地に住んでいる日本人とオーストラリア人の家族が手製の日の丸を持って応援にかけつける一幕も。「ニュースでこのレースのことを知り、いつ来るかとずっと待っていました。頑張ってください」との応援に、佐川さんと木村英樹総監督(工学部教授・チャレンジセンター所長)から2名の子どもに2011型ソーラーカーのトミカがプレゼントとして渡されました。チームは、そこから25kmほど走った鉄道の線路わきにある空き地で今日のレースを終え、日没までバッテリーを充電しました。

チームマネージャーの大塚隆司さん(大学院工学研究科航空宇宙学専攻1年次生)は、「チームワークはずいぶんよくなりましたが、それでも一つひとつの作業のちょっとした積み重ねが現在の差につながっているのだと思う。でもあと一日、しっかり戦い抜きます」と前を向いていました。

日本国旗を持った家族
マシンを調整する様子
マシンを調整する様子
マシンを運ぶ様子
マシンを運ぶ様子
マシンを運ぶ様子

2015年10月21日

ブリヂストン・ワールド・ソーラーチャレンジの3日目、東海大学チームはスタート地点から2091km地点に到達。総合4位となっています。午前5時過ぎに起床した学生たちは、バッテリーの充電準備や輸送する荷物の積み込み、朝食の用意などをそれぞれの役割にしたがって行っていきました。朝食の準備をしていた小寺佳久さん(ロジスティクス班・工学部動力機械工学科2年次生)は、「早く起きることができたので、今のうちにやれることを済まそうと思い準備を始めました。そうすればあとの作業に余裕ができますからね」と淡々と話していました。また、太陽が昇る前にキャンプ地の中で適した場所を探してマシンを移動し、6時15分の日の出とともに充電を開始。できる限り多くの電力を得ようと、徐々に太陽がのぼっていくのに合わせて15分おきにマシンと反射板の角度を調整していきました。

そして8時4分にキャンプ地をスタート。三瀬剛さんがハンドルを握り、第5コントロールストップ(CS)・アリススプリングス(スタートから1,496km地点)に向かいました。スチュアートハイウェーを離れてアリススプリングスの街中に入ると、一般車の交通量も多く、ドライバーが神経を使う場面も多くありましたが9時8分には無事到着しました。今朝の出発前、「ここまでCSでの動きがきちんとできていない」との反省から、もう一度作業の順序や役割を確認しなおしていた学生たち。マシンが入ってくると、「ドライバー降りるのを手伝って!」「マシンの前後OK?」「じゃあ(マシンを太陽に向けて)傾けるよ」と声を掛けながら、5分ほどの間に充電体制に入るほど機敏な動きを見せていました。

そして38分には出発して再びスチュアートハイウェーに入った直後、後輪のタイヤをおおっているボディ内側のカバーが外れるトラブルが発生。三瀬さんからの連絡を受けた先導車と指令車が連携を取り路肩の安全な場所に停車し、すぐに直してレースに復帰しました。前日予想された通り、次第に雲が多くなり日射量も少しずつ減っていきましたが、東海大チームの搭載する太陽電池が威力を発揮して大きく発電量が落ちることもなく走行。暑さと乾燥のために干上がってしまった川や、養分が足りず大きく育たない木々の間に続く平坦な道を平均時速95kmで200kmほど駆け抜けていきました。あとわずかで第6CSのカルゲラに着くと思われたところで、今度はリアタイヤにパンクが見つかって交換。5分ほどのロスを余儀なくされました。

第6CSのカルゲラ(1,765km地点)には午後12時40分に到着。この時点でトップのトゥエンテ大学とは26分の差となっていました。チームはここでドライバーを三瀬さんから佐川耕平さんに交代。大会オフィシャルから言い渡された15分のペナルティを消化したのち、ダーウィンのあるノーザンテリトリーとアデレードのサウスオーストラリア州の州境をこえていきました。途中毎秒7mの風が吹き付けるなか、長さ40mをこす大型トラック「ロードトレイン」の風圧でマシンが大きく振られる場面もありましたが、「牛に注意」や「カンガルーに注意」の看板が点在する一本道をトラブルもなく駆け抜け、カルゲラから330kmほど走ったところで今日のレースを終えました。

キャンプ地を決めてバッテリーを充電した後、チーム全員が集まってミーティングを実施。今日一日を振り返り、明日に向けた改善点を話し合いました。福田紘大監督(工学部准教授)は、「レース後半を迎え、上位でも少しずつペースをコントロールし始めているチームも出てきました。現状で他チームとの差は正確にわかりませんが、前を走るミシガン大学とは大きな差がないのが現状です。ゴールも近づいており、明日どこまで距離を稼げるかが勝負の結果を大きく左右すると思う」と明日の展開を語っています。高柳光希さん(電気班兼ドライバー・工学部精密工学科3年次生)は、「ペナルティやトラブルは重なっていても、この位置で戦えているのはマシンの性能の高さの証明だと思う。明日のレースでは小さなミスも許されません。ゴールするまで何があるかわからないのがレース。まだまだ絶対にあきらめません」と気を引き締めていました。

道に止まるマシン
マシンを取り囲むスタッフ
話す様子
マシンが走る様子
マシンを覗くスタッフ
マシンの写真
マシンを運ぶ様子

2015年10月20日

東海大学チームは2日目、朝5時半過ぎに起きて作業を開始。昨日の夕方に続いてバッテリーを充電し、出発に備えました。その間ロジスティクス班は、メンバー全員の朝食を用意。昨日まで学生同士の連携が悪かったという反省から、サポートカーのドライバーに注意事項とスタート直後の動き方を伝えるドライバーブリーフィングを行ってチームの気を引き締めました。また作業の合間には、手の空いたメンバーから順に食事をとった学生たち。「昨日の夜はテントの中でゆっくりと休めました。朝食も食べて力もみなぎっています。今日も頑張ります」と笑顔を見せていました。

マシンは8時にスタート。本日最初のドライバーを務めた三瀬剛さんは、「大自然を相手にどれだけ走れるのかを考えるのが、このレースをドライブする醍醐味。ライバルとの競り合いを楽しみながら、任された300kmをしっかり走りぬきます」と力強く語っていました。チームは昨日の夕方に無理をせずにキャンプできる場所を選んだ関係で、昨日3位だったトゥエンテ大学と4位のデルフト工科大学のオランダ勢に抜かれて5位からスタート。10時過ぎには前を走っていたアメリカ・ミシガン大学を抜いて4位になりました。

そして第3コントロールストップ(CS)には、11時20分頃に到着。ここでドライバーを三瀬さんから、卒業生の佐川耕平さん(富士重工業株式会社)に交代しました。また、昨日のレース中のサポートカーの動きがルールに違反していたとオフィシャルから指摘され、10分のペナルティストップを受けたため既定の30分にプラスして停車したほか、CSの手前で圧力低下が見つかったタイヤ1本を交換。この停車でベルギーのパンチパワーに追い抜かれて5位となり、先頭のトゥエンテ大から24分遅れでのスタートとなりました。

今日のオーストラリア中部は一日中強い日差しが大地を照らし太陽電池の充電には十分でしたが、気温38℃をこえて湿度もほとんどないなど学生には厳しい環境となりました。赤土の大地に時折地平線が見える中、東海大チームはノーザンテリトリー有数の観光地で、巨石群が並ぶデビルスマーブルを通過し、午後2時38分に第4CS・バロークリークに到着。その時点で前を行くパンチパワーと4分差となっていました。そこでの作業を無事に終えたマシンは、そのままパンチパワーを追走。先導車や指揮車とこまめに連絡を取り合いながら安全なタイミングを探り、15時20分頃に追い抜いて4位に上がりました。

その後、スタート地点から1401.7km地点に着いたところで今日のレースを終了。トップとは20分ほどの差となっています。後続のパンチパワーも同じ場所まで到達し、ともにキャンプを張ることになりました。今日までの戦いを振り返り、喜多洸介さん(ドライバー・工学部動力機械工学科1年次生)は、「私自身は高校生の時からソーラーカーに携わってきましたが、わずか2日間でもこの大会を通してこれまで以上により真剣にソーラーカーと向き合う気持ちになってきたように感じています。ここからは、一つのことですべてが変わる。そのことを、しっかりと心にとどめて自分の役割を果たします」と力強く語っていました。木村英樹総監督(工学部教授・チャレンジセンター所長)は、本学の情報技術センターと宇宙情報センターが中心となって進めている研究プロジェクト「TEEDA」※から提供を受けている気象情報をもとに明日からの展開を分析。うっすらと雲の差しかかってきた夕空を見上げながら、「気圧の谷に近づいて、ここから先約1,000kmにわたって雲がかかることが予想されます。あの雲はその先端です。そうなると各チームのエネルギーマネジメントの技術の勝負になってくる。東海大学には1996年から培ってきた経験の蓄積があり、それが有利に働くと思う。他チームの戦術を見極めながら、後半で勝負をかけられるような展開にもっていきたい」と意気込んでいます。

※TEEDAとは
情報理工学部情報科学科の中島孝教授が研究代表を務め、東京大学、千葉大学、気象衛星センター、富山大学と協働で取り組んでいるプロジェクトです。「再生可能エネルギーの調和的活用に貢献する地球科学的支援システムの構築(Terrestrial Energy Estimation by Diurnal Data Analysis)」をテーマに、独立行政法人科学技術振興機構が実施する平成24年度戦略的創造研究推進事業(CREST)の採択を受けています。

マシンを調整する様子
空の写真
マシンを見ながら話す様子
マシンを調整する様子
パソコンを見る様子
会場
マシンを触る学生
大地
マシン

2015年10月19日

オーストラリアのダーウィンからアデレードまで3,000kmで争われるブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジが、10月18日にスタートしました。東海大学チームは、前日の予選の結果8番目からスタートしましたが、ダーウィンを出発して最初のコントロールストップ(CS)のキャサリンまでの間にアメリカのミシガン大学に次ぐ2位に上昇。その後、一時はオランダのトゥエンテに追い抜かれましたが、第2CSであるダンマラの直前で再度抜き返し、そこから17km走った地点で今日のレースを終えました(スタート地点から650km)。トップのミシガン大学から5分差、3位のトゥエンテとは1分差のデットヒートとなっています。

最初にステアリングを握ったのは、卒業生の佐川耕平さん(富士重工業株式会社)です。佐川さんは予選でも好走し、「ファーストドライバーをするのは今回で3大会連続ですが、ここから3,000kmの戦いが始まると思うと緊張します。まずは上位に早めに追いつきたい」と意気込んでスタートしました。市街地では一般車両や信号も多く、加速と減速の繰り返しを余儀なくされましたが、指令車の指示を受けながらエネルギーのロスも少なく走行。スチュアートハイウェイに入ったところで電気系統のトラブルで停車を余儀なくされましたが、先導車と指令車などサポートカーに乗っていたメンバーがすぐに駆けつけて復旧し、その後は順調に順位を上げていきました。

第1CSのキャサリンで、ドライバーを佐川さんからサポートスタッフとして参加している三瀬剛さんに交代。しかしここでサポートカーとマシンが交信するための無線機器が不調となり、復旧を試みる中で40℃をこえる暑さにより三瀬さんが体調を崩してしまい、100kmほど走ったところで再度、佐川さんがドライバーを務めることとなりました。その際、3位を走っていたトゥエンテに追い抜かされてしまいましたが、第2CSの直前で抜き返して2位に浮上。横内宏樹さん(工学部電気電子工学科4年次生)は、「今日起きてしまったトラブルは、確認をきちんとしていれば防げたものだと思います。これ以降は、イージーミスをなくすようメンバー同士できちんと対策したい」と悔しさをにじませていました。

チームはその後、17km先まで移動してキャンプを張り、ソーラーパネルを使ってバッテリーの充電を行い、マシンの各部をチェックしました。横井泰之さん(工学部動力機械工学科2年次生)は、「チームには卒業生や先生方が数多くサポートスタッフとしてかかわってくださっており、私たちがどれだけ多くの方々に助けられているのかをしみじみと実感しました。ここからは学生の責任。今日の反省を生かして、明日からはしっかりと戦いたい」と決意を新たにしていました。チームマネジャーの大塚隆司さん(大学院工学研究科航空宇宙学専攻1年次生)は、「事前に予想していた通りの混戦になっています。こうした厳しいレースでは、細かいことから一つひとつ確実に作業しつつ、体調もしっかりと整えることが重要になります。マシンの状態はとても良いので、今日はしっかり休んでトラブルなくレースを続けられるよう心掛けたい」と振り返っています。

大会の様子
マシンが走る様子
マシンが走る様子
マシンが走る様子
マシンを修理する様子
マシンを修理する様子
マシンの写真
マシンの写真
マシンを修理する様子
マシンが走る様子
マシンが走る様子
マシンの写真
マシンが走る様子
マシンを調整する様子
マシンの写真

2015年10月17日

ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジのスタート順位を決める予選が、10月17日にダーウィン市内のヒドゥン・バレー・サーキットで行われ、東海大学チームは2分5秒6049のタイムを記録。出走全43チーム中8位(チャレンジャークラス29チーム中6位)に入りました。

チームは昨日の再車検合格後から、マシンのセッティングを予選用に調整。電気系統も昨日までのシステムからさらに安全なものに改良して今日に臨みました。午前6時過ぎにヒドゥン・バレー・サーキットに到着したときには30度をこえる暑さでしたが、学生たちはものともせずに指定されたテントでマシンの各部をチェックしていました。学生たちはレースへの出場権を獲得したこともあって、時折冗談を言い合うなどリラックスした様子。松下知徳さん(工学部機械工学科3年次生)は、「オーストラリアについてから今日までの日々は、これまで経験したことがないほど濃密であっという間でした。一昨日に再車検を言い渡された時には1日で修理しなければならず、『本当に出場できるのか?』と一瞬不安になりましたが、無事にこの日を迎えられてよかった。ずっとこの時を待ちわびていました」と笑顔を浮かべていました。

午前7時からは、チームマネージャーとドライバーが参加するブリーフィングが行われ、オフィシャルが予選とその後に行われる運動性能テスト(マシンの走行性能をチェックするもの)のルールについて説明を受けました。7時半から始まった予選で東海大チームは11時15分頃にピットレーンへ移動。レーンでは東海大チームの次にスタートすることになったオランダのデルフト工科大学と応援合戦を繰り広げ、会場を巻き込んで盛り上がる一幕もありました。そして迎えた予選。卒業生の佐川耕平さん(富士重工株式会社)のドライブでゆっくりと走り出したマシンは、徐々にスピードを上げて順調に走行。ホームストレートではピットウォールで見守るチームメンバーの前を時速100km以上のスピードで駆け抜け、無事ゴールしました。マシンはそのまま運動性能テストにも合格。明日の出走順位が確定し、大会オフィシャルが公道を走ることを認めた証となるナンバープレートが渡されました。

チームマネージャーの大塚隆司さん(大学院工学研究科航空宇宙学専攻1年次生)は、「優勝した2009年と11年と同じ目標タイムをたたき出すことができ、まずはほっとしています。レース本番まで残された時間はわずかですが、万全の準備を進めます」と決意を新たにしています。また福田紘大監督(工学部准教授)は、「学生たちはオーストラリアに来てから一つにまとまり、自分たちで考えて問題を解決する力がめきめきついており心強く感じています。まずは初日にできるだけ順位を上げていきたい」と話していました。

トヨタ・ダーウィン・ブランチに帰った後、学生たちはマシンの充電性能や電子回路、足回りなどをもう一度チェック。サポートカーにも機材を積み込んで明日から始まるレースに備えました。レースは18日の午前8時半にスタート。東海大学チームは首位から11分後の出走となります。

拳を上げて気合いを入れる様子
握手する姿
予選の様子
予選の様子
予選の様子
笑顔でナンバープレートを見せる学生
予選の様子
予選の様子
タイヤを持って話す様子
調整する様子
ナンバープレートを貼る様子

2015年10月16日

16日の午前11時30分からダーウィン市内のフォスキー・パビリオンで行われた再車検に無事合格しました。

昨日の車検で、緊急時の安全装置や太陽光での充電時に使う反射板のサイズ、ドライバーの体重によって搭載が義務付けられる重りの積み方について修正指示を受けていた東海大学チーム。学生たちは昨晩から、卒業生で今回サポートメンバーとして参加している佐川耕平さんや竹内豪さん、平沢浩人さんらの協力を得ながら電気回路の修復に取り組みました。作業は夜を徹して行われたものの、未完成のまま午前10時に。このままでは車検に間に合わないと判断したチームは、チームマネージャーの大塚隆司さん(大学院工学研究科航空宇宙学専攻1年次生)の判断で先発隊が会場へ向かい、修正した結果をオフィシャルに報告して通過できるか否かの判断を仰ぎました。電気班は、ぎりぎりまで拠点のトヨタ・ダーウィン・ブランチで作業を続け、最後の最後で修復回路の作成に成功。早速トラックに積み込み、会場に向かいました。

会場では、オフィシャルがそれぞれの項目をチェック。木村英樹総監督(工学部教授・チャレンジセンター所長)や福田紘大監督(工学部准教授)、マネージャー補佐のアナス・アルモアッライさん(大学院総合理工学研究科1年次生)が詳細を説明し、無事合格しました。オフィシャルが「OK」と合図した瞬間に思わず「よっしゃ!」と声をあげ、拍手して喜びを分かち合った学生たち。アナスさんは「大会運営本部をお客さまだと考えれば、そのオーダーに応えるのがエンジニアである私たちの使命です。合格は、私たちをプロだと認めてもらえたのと同じこと。本当にうれしい」と満面の笑顔で話していました。

学生たちは、レースに向けたバックアップの準備も進めています。コースマップの作製を担当している喜多洸介さん(ドライバー・工学部動力機械工学科1年次生)は、「2013年の大会で作ったものをもとに修正点を反映しています。このマップはチームが戦略を立てる上でも重要になるのでミスが許されません。一つひとつしっかり反映させて、完璧に仕上げます」と真剣な顔で作業に取り組んでいました。一方、ロジスティクス班もサポートカーに通信アンテナを搭載するなど準備を進め、レース中にキャンプなどで必要な物品を手分けして買い出しに行きました。班長の大森翼さん(工学部精密工学科4年次生)は、「食事や部品の不足を感じずにレースに専念できるようにするためには、バックアップの役割が欠かせません。そのために万全の体制を整えたいと思います。ソーラーカーといえば非力なイメージがありますが、十分に走る力があることを多くの人に知ってもらいたい」と意気込んでいました。

また、チームがサポートを受けているトヨタ・オーストラリアやブリヂストンの関係者がダーウィン・ブランチを来訪。また、NHKと朝日新聞からの取材も受けました。なおチームにはTOKYO FMのアナウンサーも同行して取材を進めています。なおレーススタート後の19日(月)からは、TOKYOFMの「クロノス」(23日・金まで)で午前6時19分ごろから、「TIME LINE」(22日・木まで)で午後7時42分ごろに現地からの生放送が行われる予定です。

メンバーで話し合ってる様子
メンバーで話し合ってる様子
メンバーで話し合ってる様子
話し合ってる様子
マシン修理の様子
マシンを見ながら話す様子
マシンを修理する様子
マシンを修理する様子
マシンを運ぶ様子
マシンを見る様子
マシンを動かす様子
マシンを写真に撮る様子

2015年10月16日

15日はレース参加に向けた重要なステップとなる公式車検に臨みました。各チームのマシンがレギュレーション通りに作られ、公道で走るのに安全な性能を持っているかを細かく検査されるため、学生たちは早朝から機械系統と電気系統の性能をチェック。花房祐規さん(機械班・工学部動力機械工学科3年次生)は、「8月にマシンを作り始めたころは、ここまでたどり着けるのかと不安になったこともありました。オフィシャルからどのような指摘を受けるかわからない面もありますが、無事に車検を受けられてよかった」と胸をなでおろしていました。

正午過ぎに会場のフォスキー・パビリオンに到着した学生たちはメンバー登録を終えたのち、マシンを搬入。平田将大さん(広報班長・大学院人間環境学研究科人間環境学専攻1年次生)は、「ギャラリーの数も多く、あらためて大会の大きさを実感しました。歴史あるトップクラスの大会に参加するのかと思うと、身が引き締まりますね」とコメント。チームの広報活動に生かそうと、カメラとビデオで会場の様子や他チームのマシンを熱心に撮影していました。

午後1時から行われた車検では、マシンのサイズや重さのほか、ドライバーが安全に脱出できるか、さらには安全な充電方法を採用しているかといった機械的な側面と、配線やバッテリーといった電気系統について大会のオフィシャルが細かくチェック。機械的な面では、チームが充電の効率を上げるために今大会初めて採用した反射板がわずかにボディからはみ出していた部分の修正指示を受けたのみでおおむね合格しました。一方の電気系統では、安全装置の一部を修正するようにとの指示を受けました。1回での合格を目指していた学生たちは一様に落胆していましたが、電気班の阿部涼平さん(工学部精密工学科2年次生)と大瀧要さん(工学部動力機械工学科3年次生)は、「今夜のうちに指摘された点を直して明日こそは絶対に合格してみせます!」と気を取り直していました。

車検が終了後、パビリオンに隣接するグラウンドで大会メーンスポンサーのブリヂストンが開いた懇親会に参加して鋭気を養った学生たち。拠点として使用しているトヨタ・ダーウィン・ブランチに戻ったあとは、さっそくマシンの修正にとりかかっていました。16日は午前11時30分から行われる再車検に挑みます。

マシンを調整する様子
受付の様子
マシンを見ながら話す様子
会場の様子
マシンを運ぶ様子
マシンを見て話す様子
マシンを調整する様子
マシンを調整する様子
マシンを調整する様子
マシンを見て話す様子

2015年10月15日

東海大学ソーラーカーチームは14日、ダーウィン市内のヒドゥン・バレー・サーキットでオーストラリア到着後2回目のテスト走行を行いました。今日のテストは、サーキットでの走行性能と予選用のモーターの動作をチェックするのが目的で、1周2.87kmのコースを2回にわけて18周しました。

1回目のテストでは、ステアリングを切った際にボディーの一部がタイヤに当たってしまう現象が発覚。ほぼ直線道路で争われるレース本番では問題ないものの、念のため当たっていた部分を削って対処しました。また電気系統の動作やマシン走行後の車体各部の温度変化、走行中の発電状況もチェックして、レース本番に性能を最大限に発揮させるための情報も収集。和田拓馬さん(機械班長・工学部動力機械工学科3年次生)は「細かい修正点があったものの、おおむねきちんと動作しておりまずは一安心です。サーキットでの予選と公道を走り続けるレース本番では路面の状態などで違いも多いと思いますが、それぞれのパーツがしっかり動き続ければ良い結果につながると期待が持てました」と安堵していました。

昨日に続くテストを通して、チームの団結力も急激に向上しています。サーキットに着いたあとには、「トラックから車体下すよ」の一声でメンバーがさっと集まり、手早く作業を開始。太陽電池のアッパーパネルを一度外して足回りや電気系統を整備し、タイヤを取り付けてもう一度パネルを取り付ける作業を迅速に進めていました。

またサーキットにはアメリカ、オランダ、トルコ、南アフリカ、中国、地元オーストラリアなど世界中から参加チームが集まっており、マシンの整備を続けてテストを重ねるなど、本番に向けて大会全体も盛り上がりを見せてきています。東海大チームのメンバーも作業の合間に他チームを視察しており、大森翼さん(ロジスティクス班長・工学部精密工学科4年次生)は、「国際大会では他チームと交流することも大切です。僕たちも海外のチームのメンバーと話すことで勉強になることも多いし、同じ目標を持った者同士で語り合うこと自体が楽しいですね」と笑顔を見せていました。

今大会本番に向けて、マネジメント班や広報班などバックアップチームも活動を本格化しています。このうちマネジメント班は、遠征メンバー約30名の3食の食事を用意するかたわらレース中のキャンプの準備を進めています。通訳も務めるアショー・アハメドさん(情報理工学部コンピュータ応用工学科3年次生・サウジアラビア出身)は、「メンバーはみなそれぞれの専門分野を生かして頑張っています。その中で、少しでもチームの役に立ちたいと思いマネジメント班に加わりました。Winning is my goalの気持ちを大切に、たとえどんなことがあっても笑顔を忘れず、仲間と協力しながら乗り越えていきたい」と決意を述べています。

マシン修理の様子
機械を見ながら話す様子
他チームのマシン修理の様子
マシンを運ぶ様子
マシン修理の様子
テスト走行の様子
テスト走行の様子
テスト走行の様子
食事を作る様子
マシン修理の様子

2015年10月14日

東海大学ソーラーカーチームは13日、予選会場であるダーウィン市内のヒドゥン・バレー・サーキットでテスト走行に臨みました。日本で出発直前に行ったテストで明らかになった課題が解決できているかを確かめ、新規に搭載したパーツの動作を確認することが狙いです。

これまでマシンの組み立てに専念してきたチームにとって、オーストラリア到着後初のテスト走行。学生たちは朝からマシンの最終調整を進めていきました。2011年、13年に続いて3回目の参加となる山田萌子さん(大学院工学研究科機械工学専攻1年次生)は、「日本でのテスト走行後に取り付けた部品がうまく動くかわからないけれど、走る姿を見られるのは楽しみです」と不安と期待が入り混じった表情で話していました。

昼過ぎにチームがサーキットに到着すると、ピットにはオランダのデルフト工科大学やアメリカのミシガン大学をはじめ、多くのライバルチームが来訪。学生の説明を受けたり、メンバー同士でマシンを見ながら話し合ったりする姿が途切れないなど東海大の注目の高さがうかがわれました。「トップチームの技術を学びたい」と訪れたマレーシアの大学生は、「とても完成度が高く美しいマシンで感動した。すべての面で技術が高く、とても参考になりました。いつかこのチームと戦えるようになりたい」と目を輝かせていました。またデルフト工科大学のメンバーは、「大会全体のレベルが向上するなか、トップチームの性能差はほとんどない状態。私たちのチームも順調に準備が進んでおり、東海大ともいい戦いをしたい」と決意を新たにしていました。

工学部卒業生の佐川耕平さん(富士重工業株式会社勤務)がステアリングを握ったテスト走行では、1周2.87kmのコースを2回に分けて13周走りました。1回目ではタイヤがボディに当たるトラブルが見つかりましたがすぐに修理して連続走行に成功。2回目では8周連続で走り、ステアリングの操縦性とサスペンション周りの性能が大幅に改善していることを確認しました。

チームリーダーの大塚隆司さん(大学院工学研究科航空宇宙学専攻1年次生)は、「現地に入ってからメンバーの緊張感と団結力も高まっています。レースをスムーズにスタートさせるためには、少なくとも予選で上位に入ることが大切。そのためにもすべての部品を作動させられるようしっかり準備して、15日の車検に臨みます」と意気込んでいました。

大会の車検は今日から始まっており、東海大チームの代表者も会場となるフォスキー・パビリオンを視察。他チームのマシンの状態を確認しました。さらに、太陽電池パネルの発電テストなど電気系統の性能もチェックしました。

テスト走行の様子
マシンを見ながら話す様子
テスト走行の様子
テスト走行の様子
マシン修理の様子
マシンを見ながら話す様子
機械を操作する様子

2015年10月13日

東海大学チームは、10月7日に「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ2015」のスタート地点であるダーウィンに到着し、大会に向けた準備を開始しました。先発隊の学生たちは、10月1日にメルボルンでマシン「Tokai Challenger」を回収し、アデレードからダーウィンまで、コースの状態を視察しながら逆走。7日にレーススタートまでの拠点となるトヨタ・ダーウィン・ブランチで後発隊と合流して、当日からマシンの組み立て作業を開始しました。

12日には、マシンの電気系統やバッテリーといった部品を組み立て、ステアリングの操作性を高める調整や太陽電池モジュールの発電量チェックをはじめとする各種部品の性能チェックを進めました。さらに、レース中メンバーが乗るチェイスカー(指揮車)や先導車、トラックに回転灯や無線機器、大会ルールで定められたステッカーを取り付け、マシンにトラブルがあった際に使うファースト・エイド・キットを積み込むなどバックアップの体制も整えています。機械・電気班で準優勝に終わった2013年大会に参加している横内宏樹さん(工学部電気電子工学科4年次生)は、「日本にいるときよりもメンバー数が少ないところもあり、思うように作業が進んでいないところもあって不安もあります。でも、絶対に優勝トロフィーを持ち帰りたい」と語りながら、真剣な面持ちで作業を進めています。

なお本日は夕方からチーム代表が一堂に会するチーム・マネージャー・ブリーフィングが開かれ、東海大学チームの車検は15日の13時(ダーウィン時間)から実施することが発表されました。

木村英樹総監督(工学部教授・チャレンジセンター所長)は、「大会に出場するすべてのチームがライバルだと思っています。参加チーム相互の研究が進んだ結果、全体レベル差は大会ごとになくなってきており、細かい技術や経験の蓄積が勝敗を分ける厳しいレースになるはずです。東海大学には1991年から培ってきた技術と多くの企業の協力、情報技術センターと宇宙情報センターが中心となって進めている研究プロジェクト『TEEDA』※、卒業生など多くの人のサポートがあり、それが他チームにない力になると信じています。2013年の悔しさを晴らすためにも、万全の準備を進めたい」と意気込んでいます。

※TEEDA(てぃだ)とは
情報理工学部情報科学科の中島孝教授が研究代表を務め、東京大学、千葉大学、気象衛星センター、富山大学と共同で取り組んでいるプロジェクトです。「再生可能エネルギーの調和的活用に貢献する地球科学的支援システムの構築(Terrestrial Energy Estimation by Diurnal Data Analysis)」をテーマに、独立行政法人科学技術振興機構が実施する平成24年度戦略的創造研究推進事業(CREST)の採択を受けています。

マシンの組み立て作業の様子
ミーティングの様子
マシンの組み立て作業の様子

2015年09月07日

ライトパワープロジェクト・ソーラーカーチームが9月5日にブリヂストンプルービンググラウンド(栃木県那須塩原市)で『2015年型Tokai Challenger』の試走会を実施。11名のプロジェクトメンバーが参加し、車体の動作確認をしました。

当日は、株式会社ブリヂストンのスタッフの方にも協力をいただき、試走会をスタート。高速周回を中心にスラローム走行や、ブレーキ、サスペンション(※1)のチェック。パナソニック株式会社の方々と共に、太陽電池の発電チェックも行いました。走行後はいくつかの課題点を見つかり、ブレーキはきちんと調整することができ急制動時もバランスよく停止することが可能になり、電気系統ではモーターコントローラーの設定違いやウィンカーの光量不足などが分かり、対応することが出来ました。

ドライバーの高柳光希さん(工学部精密工学科3年次生)は「ドライバーとして、車体に異常が起きていないか常に意識し、人一倍責任感をもってレースに臨みたいと思っています。多くの企業の方々に協力して頂き、プロジェクトのみんなが精一杯製作した車体の性能を100%出せるよう、大会までの残りの期間やれることはすべてやり切り、大会優勝そして王座奪還を果たしたい」と語りました。

サスペンション・・・車輪と車体をつなぎ、路面からの衝撃や振動を吸収しながら車体を保持させる装置

車体の動作確認の様子
車体の動作確認の様子
車体の動作確認の様子