大学院工学研究科の中島理紗子さんが日本原子力学会2022年春の年会」の学生ポスターセッションで「計算特別賞」を受賞しました

 大学院工学研究科応用理化学専攻(原子力領域)修士2年の中島理紗子さん(指導教員=工学部機械工学科・堺公明教授)が、3月16日から18日にかけてオンラインで実施された「日本原子力学会2022年春の年会」の学生ポスターセッションで、「計算特別賞」を受賞しました。中島さんは、昨年度の春の年会でも「積雪ハザードによるリスクの定量化に関する調査」のテーマで奨励賞を獲得しており、今回で2年連続の受賞となりました。同学会は、「春の年会」「秋の大会」を開催しており、今回は全国の学生や大学院生ら68名が研究成果を発表しました。

 中島さんの研究テーマは「ナトリウム冷却高速炉における異常降雪事象に関する CMMC法を用いた定量的リスク評価」です。ナトリウム冷却高速炉と呼ばれる原子炉は空気で熱を冷やす仕組みで、竜巻や火山灰など上空からの災害による影響を受けやすいという側面を持っています。中島さんは近年、加速する地球温暖化の影響に伴い、短期間での異常降雪が増大傾向にある気象事情に注目。1万年に1度発生するとされる雪の量を計る指標「一万年再現期待値」を使用して、2050年までに異常降雪が160%増大する可能性があることを導き出しました。この結果を用いて異常降雪に対して、積雪が懸念される日本海側の原子力施設にどのような影響が及ぶのか解析し、原子炉が健全であるために設定されている制限温度を超過する確率が38%増大するというリスクを定量的に評価しました。

 学部時代から堺教授の研究室に所属し、本研究をはじめ原子力に関する研究活動に取り組んできた中島さんは、「セッションのお話をいただいた時はまだ就職活動中だったのですが、昨年度の奨励賞よりも『さらに上位の賞を獲りたい』という気持ちから参加を決めました。前回よりもプレッシャーを感じる場面もありましたが、本番まで堺先生や研究室のメンバーからアドバイスを受けて、発表練習や内容のブラッシュアップを重ねてきたので、そこまで緊張せずに発表できました。来年4月からは原子力のリスク評価も行う企業への就職が決まっているので、これまで大学で学んできた知識をいかしていきたい」と意欲を見せています。