東海大学モニター農家制度の発足40周年を記念した講演会を行いました

農学部では4月19日に熊本キャンパスで、「東海大学モニター農家制度」の発足40周年を記念した講演会を行いました。1983年に発足した本制度は、地域農業の持つ問題点や現状を大学の研究課題として取り上げ、成果を地域社会に還元し、大学と農家が一体となって地域農業の振興・推進に貢献することを目的としています。2022年度に40周年を迎えましたが、コロナ禍の影響で大規模なイベントなどが開催できなかったため、「2025年度東海大学モニター農家制度総会~第43回~」の一部として企画。当日は会員や教職員、学生ら約100名が参加しました。

開会に先立ち、4月16日で発生から9年が経った熊本地震で被害に遭った方々に黙とうを捧げました。総会のあいさつに立った木之内均副学長(九州キャンパス担当)は、「農学部と共に歩んできてくださったモニター農家の方々のおかげでさまざまな教育活動を展開してきました。モニター農家制度は農学部の宝だと感じています」と語り、企業との協同を目指す産学連携センターを含めた今後のさらなる連携に期待を寄せました。本制度の運営委員長を務める農学部の星良和学部長は、少子化によって農業の担い手不足が大きな課題になっていることに触れ、「学生たちにもこれまでの歴史を知ってもらい、今後の日本を考えるきっかけにしてほしい」と語りかけました。

総会の議事や「作物部会」「園芸部会」「畜産部会」の活動報告などに続いて、40周年を記念した講演会「東海大学モニター農家制度のこれまでの歩みと未来に向けて」を実施。第1部では「東海大学農学部 モニター農家制度の歴史と将来展望」と題して、村田達郎名誉教授が登壇。1980年に開学した九州東海大学(当時)の農学部に助手として着任し、後に学部長も務めた村田名誉教授は、宇宙情報センターで収集した気象データの会員向けの配信や、沖縄県西表島での授業「学外特別実習」への会員の参加、イチゴの新種「ひまつり」の共同開発といった歴史を振り返り、「農学部はまさに創立者・松前重義博士がおっしゃった、“農家の方々が土足で訪れられる環境”でした」と語るとともに、文部科学省が推進して近年、農学系類似学科の新設・増設が多く予定されている状況に触れ、「実学尊重を掲げ、教室や研究室のある建物のすぐ隣に農場や牧場、食品加工場といった実習場が設けられているのが本学農学部の特徴です。モニター農家によるリレー模擬授業も24年度で64回を数えました。他大学がこれからやろうとしている取り組みを40年前から実施していると胸を張って言えます」と語りました。第2部「東海大学とモニター農家会員の連携の取り組みの紹介」では農学部の村田浩平教授、川邊隆大准教授、樫村敦准教授が害虫・害獣駆除や植物の遺伝子組み換えといった活動を説明しました。

第3部「発足40周年公開座談会」では「東海大学モニター農家制度のこれまでの歩みと未来に向けて」をテーマに設定。村上進代表幹事(有限会社木之内農園代表取締役社長)の進行で、毛利和友氏(毛利農園元社長)、原田大介氏(有限会社阿蘇健康農園代表取締役)、上原泰臣氏(有限会社みどりライスセンター)、林孝憲氏(フィールドマスター合同会社代表)が、入会したきっかけや教員との連携、今後の活動や学生たちへの期待などを語りました。村上代表幹事は、「本制度にある3つの部会や大学の学部、企業との垣根を超えて共に活動していくことが今後の発展につながるのではないでしょうか」とまとめました。