東海大学では5月23日に、本学の海洋調査研修船「望星丸」が海洋学部水産学科の海洋実習で名古屋港ガーデンふ頭に寄港したことに合わせ、隣接する名古屋港ポートビルで公開セミナーを開催しました。地域住民や海洋分野に関心を持つ来場者ら約80名が参加し、海洋教育・研究や望星丸の役割などについて理解を深めました。

冒頭では、木村英樹学長があいさつし、本学の概要を紹介しました。木村学長は、「本学は全国にキャンパスを展開する学生数約3万人の総合大学で、『東海』という名称は『アジアの東の海』、すなわち太平洋を意味しています」と説明。1962年に日本初の海洋学部を開設して以来、海洋教育・研究を推進してきた歴史に触れ、「望星丸は学生たちが海で学ぶ“実践の場”であり、研究や社会貢献を支える重要な存在です」と語りました。
続いて、望星丸の豊田力船長が登壇しました。望星丸は国内の私立大学で唯一の多目的大型海洋調査研修船で、旅客船機能に加え、海洋調査研究、水産動植物採集、教育研修施設としての役割を担っています。豊田船長は、「海洋学部が開設されて以来、歴代の調査研修船が本学の海洋教育・研究を支えてきました。現在の望星丸は1993年に建造され、全長87.98m、総トン数2,174tを誇ります」と語り、プロペラの原理やGPS普及以前に使われていた天体航法についても解説。海底地形調査や地殻構造探査などの海洋調査研究、全学部を対象とした海外研修航海、小笠原諸島への新型コロナウイルスワクチン輸送支援など、望星丸が教育・研究・社会貢献の幅広い分野で活用されていることを紹介しました。



海洋学部水産学科の清水宗茂教授は今回の海洋実習や研究活動について説明しました。船上生活ではエチケット袋や酔い止めなど、陸上とは異なる準備が必要になると語るとともに、本学科では3年次から「食品科学分野」と「生物生産学分野」に分かれて専門的に学ぶことを説明しました。さらに、研究事例として駿河湾で実施しているマイクロプラスチック調査についても紹介。海水や魚類を対象とした調査では、マアジの約2割、カマスの約3割からマイクロプラスチックが検出されたことを報告しました。最後に、高見宗広講師が深海生物調査について講演。深海調査では高水圧や暗環境、通信の困難さなど多くの障壁があることを説明し、深海調査を行う観測機器や大型調査船の運用には高額な費用が必要になると紹介しました。また、中深層の生物を採集する「IKMT」や海底付近を調査する「ビームトロール」などの調査機器を用いた深海生物採集について解説。「これまでの望星丸の調査によって日本初記録種や未記載種と考えられる深海魚も発見されています。今後も望星丸などを用いた調査・研究を続けていきますので、皆さんも新種発見のニュースを楽しみにしていてください」と語りかけました。






セミナー終了後には望星丸の船内見学も実施。参加者はブリッジや甲板、機関室、実験設備など普段は立ち入れない区画まで見学し、乗組員や教員の説明に熱心に耳を傾けていました。参加した子どもたちは、「深海魚に興味があってセミナーに応募しました。採集に使う網の解説が勉強になりました」「自分も大学生になったら望星丸のような大きな船で海に出て魚の研究をしたい」と目を輝かせていました。
なお、翌24日には、望星丸を一般公開する「オープンシップ」も開催。多くの来場者でにぎわいました※。
※オープンシップの様子はこちら(URL)からご参照ください
