健康学部開設記念キックオフ・シンポジウム第2回「ヘルスフロンティアへの東海大学の挑戦」を開催しました

東海大学では7月13日に東京・霞が関の東海大学校友会館で、2018年度に決定している健康学部の開設を記念するキックオフ・シンポジウム「ヘルスフロンティアへの東海大学の挑戦」の第2回を開催しました。健康学部は、健康マネジメント学科の1学科体制で湘南キャンパスに設置され、身体の健康だけでなく心理面や経済面、社会的な側面まで含めた、健康に関する多角的な知識・技能の習得、地域社会や企業と連携した教育を展開していく計画です。シンポジウムは、新しい学部の理念や目指す教育研究活動を周知するとともに、企業や行政、大学など研究機関の識者らと健康学のあり方を考える機会とすることを目的として、今年5月から11月まで4回にわたって開催していきます。第2回となる今回は、「健康な生活とは‐逆境・困難から回復する力・レジリエンス」をテーマに、医療や社会福祉の関係者、本学関係者ら約90名が参加しました。

当日はまず、今井裕副学長(医療・健康担当)があいさつに立ち、「本日のシンポジウムでは、逆境や困難から回復する力である『レジリエンス』を学ぶために特別に講師をお招きしました。逆境や困難から回復する力は健康学部の扱う分野でも極めて重要です。回復力をいかに身に着けるか、皆さんと一緒に考えてまいりたいと思います」と語りました。続いて、健康学部設置準備委員会の堀越由紀子教授が今回のシンポジウムの趣旨と新学部の学びについて説明。「健康学部では多面的に健康の実現について目指していきますが、このような学部はほかに例を見ません。研究者間のコラボレーションを進め新しいモデルを構築していきます」と話しました。

講演では、アメリカの臨床心理学の第一人者であり、「健康」は身体・精神・社会的要素が深く関連し合って実現するトータルなものとの学説を提唱するバリー・ジェイコブズ博士とジュリア・メイヤー博士が登壇。「高齢者の健康とレジリエンスの促進」をテーマに、心理学の分野で逆境や困難から回復する力とされる「レジリエンス」をいかに高めて「健康」を実現するか、その方法について講演しました。ジェイコブズ博士は、健康的に年をとることの重要性をはじめ認知症を含む慢性疾患や退行性疾患のより高い罹患率、家族の介護、医療費や社会サービス費などのコストといった課題を挙げるとともに、レジリエンスの概念について解説。「急性ストレスからの保護や回復する能力、経験から成長する能力を身に着けなくはなりません」と語り、さらにジェイコブズ博士、メイヤー博士双方の家族が高齢者の介護を通じてレジリエンスを構築していった過程を紹介し、「高齢者の社会的、心理的要因に対処すること、さらに介護している家族を強化することによって、高齢者のレジリエンスを高め、高齢者の生活をよりよいものにできる」と語りました。

その後、会場を交えたディスカッションでは、高齢者施設や家庭での介護を通じたレジリエンスの構築、社会保障制度との関連など、福祉領域を中心にその実践に向けた質疑応答が交わされました。最後には、閉会のあいさつとして健康学部設置準備委員会の堀真奈美委員長(教養学部教授)が出席者への謝辞を述べ、「本日の講演とディスカッションを通じてさまざまな“気づき”がありました。超高齢化が進む中での社会保障や介護のあり方などポジティブな面にも目が開かれました。一方で老老介護など多くの課題がある中で、家族のケアや心構え、レジリエンスは非常に大きな問題であり、家族の力を取り戻す活動が必要であると考えられます。今後のシンポジウムを通じて地域戦略なども交え課題解決に向けて研究を進めていきたいと考えています。本日は多様な分野の専門家にご参加いただきました。今後も共同研究など皆さんのご協力、ご支援をお願いします」と呼びかけました。

■今後のシンポジムの予定とテーマ
第3回 9月14日(木)「健康長寿は社会的交流が創る―超高齢社会の地域健康戦略」(仮)
第4回 11月9日(木)「健康フロンティアへの挑戦―未来の栄養学・運動科学」(仮)
※場所・時間等詳細は決まり次第ご案内いたします

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