海洋生物科学科の平井さんが日本機能性食品医用学会で優秀演題賞を受賞しました

生物学部海洋生物科学科4年次生の平井優実さん(指導教員:木原稔教授)が、12月19、20日にオンラインで開催された日本機能性食品医用学会で優秀演題賞を受賞しました。同学会は科学的エビデンスのある機能性食品の医用普及を進め、国民の健康促進や生活習慣病の予防に役立てようと毎年開催されているものです。
平井さんは、「魚類グレリンの機能性食品化の可能性:サケグレリンによるドキソルビシン誘発急性心筋障害ラットへの心臓保護効果」について発表しました。脊椎動物の胃では「グレリン」というホルモンが産生されており、摂食促進や成長ホルモンの分泌など、エネルギー代謝調節に重要な作用を担っています。グレリンは心機能改善効果をもつため、循環器病治療の研究が活発に進められており、治療薬としての臨床利用も期待されています。平井さんは木原教授の指導のもと、ドキソルビシンという抗がん剤で心筋障害を誘発したラットに合成サケグレリンを与えた結果、心臓保護効果があることを確認しました。平井さんは、ヒトと似た構造のサケグレリンが哺乳動物体内でも作用することを初めて明らかにし、加工場で廃棄処分されるサケ胃由来のグレリンが、天然物質として、抗がん剤による心筋への副作用を経口的に緩和できる可能性を発表しました。
平井さんは、「新型コロナウイルス感染症が拡大する以前から共同研究先の大学などにも足を運んで研究を続けてきました。自粛の期間はデータ解析に充てました。今回の受賞には驚きましたが、指導してくださった木原先生をはじめ、共同研究の先生方や研究室の仲間に感謝したいと思います」と語り、木原教授は「本学科では学生にパワーポイントを使って研究発表をする機会を数多く設けています。研究内容はもちろんのこと、修得したプレゼンテーション技術が今回の優秀な発表にもつながったのではないでしょうか。大学院生や企業・大学の研究者が多数発表する中での受賞はとても価値があると思います」と話していました。