医学部付属病院がタイの生体工学技士(BME)研修をオンラインで実施しました

医学部付属病院では12月13日から22日まで、タイ・ランシット大学医用生体工学部の卒業生らを対象とした生体工学技士(Biomedical Engineer=BME)研修をオンラインで実施しました。この研修は、タイにおけるBME制度の確立や人材育成に協力するため、国立国際医療研究センター国際医療協力局「医療技術等国際展開推進事業」の採択を受けて、「東海大学医学部付属病院診療技術部TRICOLORプロジェクト」として展開しているものです。3年目となる今回は、「集中治療業務におけるタイ生体工学技士のチーム医療への参画」をテーマに、本病院の医師や臨床工学技士(Clinical Engineer=CE)による講義や医療機器メーカーの技術者らによる実技指導を行いました。

研修は13日から15日と20日から22日までの3日間ずつ2回開講し、BMEや看護師らが各回20名ずつ受講。オリエンテーションでは医学部医学科の木ノ上高章准教授(基盤診療学系衛生学公衆衛生学)が、タイのプミポン前国王(ラーマ9世)と本学の創立者・松前重義博士との交友から始まった両国の学術交流の歴史や、本学が世界保健機関(WHO)や独立行政法人国際協力機構(JICA)と連携して展開していた「21世紀保健指導者養成コース」の同国修了生の協力に触れながら研修の趣旨やプログラムを説明し、「日本の経験を母国の保健医療政策に生かしてほしい」と語りました。研修では、人工呼吸器や血液浄化装置、薬剤を投与するための輸液ポンプ、シリンジポンプの構造や保守管理方法、感染管理下における留意点についてCEが講義し、双方に設置した実機を用いて、医療機器メーカーの技術者とともに操作用方法を説明。外部講師による体外式膜型人工肺(ECMO)治療に関する解説も行いました。さらに、多職種によるチーム医療やタスクシフトについては、講義のほかVRを使った臨床現場におけるチーム医療体験も実施しました。

実施の主体となった診療技術部臨床工学技術科の西原英輝科長補佐は、「今回は日本でも課題となっている医療従事者のタスクシフトやタスクシェアを中心に企画しました。研修員からは、“医療機器のメンテナンスだけでなく、医療従事者の一人としてチーム医療に貢献する日本のCEの在り方に刺激を受けた”“新型コロナウイルス感染症が収束したらぜひ付属病院を訪問し、対面で受講したい”といったコメントをもらっています。さらにプロジェクトを発展させ、双方の医療の充実に貢献したい」と話しています。