医学部付属病院が「女性特有のがん」をテーマに市民公開講座を開催しました

医学部付属病院では3月13日に伊勢原キャンパスで、「女性特有のがん」をテーマに市民公開講座を開催しました。地域の人々の健康増進に寄与するため、定期的に行っていく公開講座の第一弾として実施したものです。当日は、産婦人科と乳腺外科の医師が、子宮頸がん、卵巣がん、乳がんについて解説。オンラインも併用し、約260名が聴講しました。

初めに、産婦人科の石本人士教授が登壇。「女性特有のがんに関する情報を、多くの方に分かりやすくお話しする機会として企画しました。病気や治療に関する理解を深め、健康に役立てていただければと思います」とあいさつしました。

続いて産婦人科診療科長の平澤猛准教授が、「知ろう!婦人科がんについて―予防、早期発見から治療まで―」をテーマに講演。子宮頸がんと卵巣がんの原因や症状、検査・診断法、病気の進行状態に応じた治療法、予防法を解説しました。子宮頸がんについては、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種による予防の重要性を指摘するとともに、「早期に発見して治療できれば子宮を温存できる可能性が高まるため、ぜひ検診を受けてほしい」と強調。また、卵巣がんに関しては、17.8%が親から子に遺伝するといった研究結果や、がん細胞の遺伝子を調べて効果が期待できそうな薬を探す「がん遺伝子パネル検査」について説明し、「私たちを医療従事者ではなくパートナーと思って、どんなことでも相談してください」と語りかけました。

休憩を挟んで乳腺外科の岡村卓穂講師が、「みんなで学ぼう! 乳がんについて」と題して講演。乳がんの早期発見・早期治療につなげるための検診と定期的なセルフチェックの大切さを訴えるとともに、科学的根拠に基づいた現時点で最も効果的な治療法として認められている「標準治療」の意義を説明しました。同じく乳腺外科の寺尾まやこ講師は、「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群って何?」をテーマに、乳がんと卵巣がんの両方を発症する可能性が高い同症候群の特徴を紹介。原因とされる遺伝子「BRCA1」「BRCA2」の検査法をはじめ、本病院遺伝子診療科における遺伝カウンセリングや、同症候群と診断された場合に求められる家族の対応についても解説しました。

最後に乳腺外科の新倉直樹教授が、「講演を通じて標準治療の大切さも理解していただけたと思います。本病院では世界標準の治療を展開していますので、安心して受診してください。治療に当たっては、自身の病気に関する正しい知識を持つことが大切です。今後も公開講座を通じて有用な情報を発信していきます」と結びました。

なお当日は、本病院の健診センターについても紹介。乳がんの自己触診を体験するブースも設置し、本センターの看護師が触診法を指導しました。また、企業の協力により、がん患者の外見をケアするためのメイクやウィッグの紹介も行いました。