大学院生物学研究科の田中さんが令和5年度日本水産学会北海道支部大会で最優秀学生講演賞を受賞しました

大学院生物学研究科2年次生の田中海さん(指導教員=櫻井泉教授・生物学部海洋生物科学科)が、1月20日に北海道大学創成研究機構で開かれた令和5年度日本水産学会北海道支部大会で研究成果を発表。最優秀学生講演賞に選出されました。同学会は、漁業や養殖をはじめ、水産食品の製造加工、水生動植物,生物資源、経済など水産に関して幅広い学問分野を網羅する学術団体です。北海道支部では毎年1回、支部大会を開いており、北海道内の研究者や大学院生らが日ごろの研究成果を発表。最優秀講演賞と最優秀学生講演賞の表彰が行われています。今回は、学生、大学院生による発表は9件ありました。

田中さんは、「稚ナマコの移動能力と摂餌活動に関する実験的検討」のテーマで発表。生物学部海洋生物科学科在籍時に卒業研究で取り組んだ稚ナマコの移動能力に関する研究の結果に、大学院で継続した摂餌活動についての研究成果をまとめて紹介しました。マナマコの種苗生産では、飼育中に生じる個体間の成長差が生産効率低下の一因として問題視されており、今回の研究では成長差の出現におよぼす体長と水温による行動変化の影響を明らかにすることを目的に、移動距離と摂餌活動の関係性を比較検討しました。その結果、稚ナマコは基礎代謝量が増加する高水温下においてエネルギー消費抑制のために移動量を減少させ、摂餌継続時間を増加させることを示唆。さらに、飼育下の稚ナマコにおける成長差は、昇温条件下において体長と水温の影響を受けて拡大することが推察されました。

田中さんは、「稚ナマコは移動距離が延びるほどエサをたくさん食べますが、野生下では質の高いエサを探して移動するものの、人工的な環境下では同じエサを食べ続けるため、質の高いエサを求めて移動するということがなく、成長にも影響が出ることが分かりました。修士課程では、このテーマとは別にマナマコが夏季に形態を変化させる仕組みについて取り組んでおり、それとは別に卒業研究で積み残した課題に挑んだ成果を評価していただいて光栄です。今回の発表では私以外は北海道大学大学院の方ばかりで緊張感もありましたが、指導していただいている櫻井先生をはじめ、実験用のマナマコを提供いただいている留萌市の皆さん、研究室の仲間たちにいい報告ができてうれしく感じています」とコメント。「私は積丹半島の西側に位置する神恵内村の出身で、小規模漁村の振興にマナマコの完全養殖が寄与すると信じて、このテーマに取り組む櫻井先生の指導を受けたいと考え生物学部海洋生物科学科に進学しました。来年度は博士課程に進み、今後も人生をかけた目標である『マナマコの完全養殖』に挑み続け、地元を盛り上げるだけでなく、日本の水産資源全体を公共の福祉につなげる国益のために研究を続けていきます」と話しています。

田中さんは2月13日に、櫻井教授と共に網野真一札幌キャンパス長を訪問。今回の受賞を報告しました。網野キャンパス長は、「この度はおめでとうございます。大学は教授が学生に対し学問を教授することが基本となっています。そして、入学してきた学生は先生だけではなく、その研究室の4年次生や修士の学生の姿を見て大学院への進学を決めると思います。ぜひ、学生から憧れられるような存在になっていただきたいと思います」と激励しました。