ライトパワープロジェクトのソーラーカーチームがワールド・グリーン・チャレンジで優勝しました

東海大学スチューデントアチーブメントセンター(SAC)・ライトパワープロジェクトのソーラーカーチームが、8月9日、10日に秋田県・大潟村ソーラースポーツラインで開催された「ワールド・グリーン・チャレンジ」(WGC)ソーラーカーラリーに出場。2019年にオーストラリア3000kmを縦断する世界最大級のソーラーカー大会「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」(BWSC)で準優勝したマシン2019年型Tokai Challengerで364周回ポイントを記録し、工学院大学や神奈川工科大学、広島県・呉港高校などBWSC出場経験のあるチームにも大差をつけて優勝しました。今大会では、マシンの規格で分けられるチャレンジャークラスでの優勝をはじめ、予定の周回数、周回時間との誤差で競うグリーンラリーでも優勝。本学によるチームとしては初めて総合優勝にあたるグランドチャンピオンを獲得しました。

WGCは、全国から高校、大学、社会人らによるチームが集うソーラーカー大会です。例年は3日間にわたって競技が実施されていますが、今回は新型コロナ感染拡大防止の観点から2日間の短縮日程での開催となりました。本学では1990年代から教職員によるチームや学生主体チームなどさまざまな体制で参戦しており、2002年には工学部で結成した東海大学ソーラーカーチームがクラス優勝を果たしています。2006年度にチャレンジセンター(現・SAC)を設立し、ソーラーカーチームが現行の学生によるプロジェクト体制になって以降は、BWSCなど国際大会への出場を活動のメーンとしていました。しかし、今年10月に予定されていたBWSCが新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となったことから、チームではプロジェクトメンバーが経験を積む場とするとともに、大会での成果を23年度に予定される次回のBWSCにつなげることを目的として、6月に今大会への出場を決定。本学が定める新型コロナ対策のガイドラインに沿いながら、19年型Tokai Challengerの整備や改良を図ってきました。

大会期間中は、8月7日、8日に同じく大潟村ソーラースポーツラインで開かれた電気自動車の大会である「ワールド・エコノムーブ」※に出場した電気自動車チームのメンバーも含め30名のプロジェクトメンバーと、プロジェクトアドバイザーでチームの総監督を務める佐川耕平講師(工学部電気電子工学科)、監督の木村英樹教授(同)らが現地入り。事前に2回の新型コロナワクチン接種を終え、現地でもマスクの着用や手指の消毒など感染拡大防止対策を徹底しました。今大会に挑んだ19年型Tokai Challengerは、低空力かつ超軽量ボディに加えて高効率な太陽光発電とモーター技術を誇るとともに、低転がり抵抗タイヤなどによる優れたエネルギー性能を有しています。9日午前中の車検を問題なくクリアすると、正午からの本戦では佐川講師のドライブで1週目からトップに立ち順調に周回を重ねます。16時のタイムリミットを前にドライバーを学生の伊坪岳陽さん(工学部電気電子工学科4年次生)に交代。ここでペースを上げてきた工学院大とトップを争う展開となりましたが、制限時間を迎えてゴールに入る寸前で工学院大のマシンが制限速度違反のペナルティーを犯したこともあり、初日を周回数トップで終えました。

2日目は台風9号から変化した温帯低気圧の影響で早朝から強い雨が降り続き、午前中の走行が見送られたため、4時間半遅れの午後12時30分からの出走となったほか、コースコンディション悪化のため1周25kmのフルコースから6kmのショートコースに変更。通常は周回数を競う本大会は、2日間の周回数をもとに換算するポイント制で順位を決定する方式に変わりました。前日の着順通りトップからスタートした東海大チームは、ファーストドライバーの佐川講師が難しいコンディションの路面を危なげなく走りトップを維持します。開始から1時間20分後にプロジェクトリーダーでもある小野田樹晃さん(大学院工学研究科機械工学専攻1年次生)にドライバー交代。終了前には再び強い雨が降り始めましたが、小野田さんは視界が悪い中でも安定した走りを見せ、2位以下に圧倒的な差をつけトップでゴールのチェッカーフラッグを受けました。

ドライバーとしても学生たちをけん引した佐川講師は、「21年度のBWSC中止が決定し、学生たちは目標を失った状態になってしまいましたが、23年大会に向けて自分たちに何ができるか考えた結果、前に進むことを決断し本大会への出場を決めました。大会に向けた準備や、期間中のさまざまな課題への対応などの経験は、やはりオンラインではなく現場でこそ得られるものです。今大会が初の実践の場となった1、2年次生も多くいましたが、大会期間中を通じて指示を待つことなく、自ら進んで作業に参加するなど成長を見せてくれました」と成果を語ります。小野田さんは、「新型コロナ禍で、拠点である湘南キャンパス・ものつくり館に一度に入れる人数や活動時間に制限があり、思うように作業が進まないジレンマもありました。しかし、自分たちにできる限りの準備をして大会に臨んだことで結果に結びつけられたと思います」と充実した表情で話しました。

※「ワールド・エコノムーブ」の結果はこちら(https://www.u-tokai.ac.jp/news-challenge/46699/)をご参照ください