海洋学研究科修士課程の山田望海です。今回は沖縄地域研究センターの周辺を起点に、西表島の生物を観察しました。センター職員の伊藤さんと犬木さんに案内していただき、浦内施設のすぐ裏手側へ。ここにはマングローブ樹種のひとつであるオヒルギの群生がみられ、足を踏み入れてみると、そこら中に根が伸びていることがわかります。

サンダルを砂に沈ませながら奥へと進み、足元を観察すると、なにやら鳥の足跡が。小〜中型の鳥でしょうか、このあたりをうろうろしていたようです(残念ながら種類の特定には至りませんでした)。ほかにも、地面がぽつぽつと掘り返された箇所があり、こちらはリュウキュウイノシシが餌を探した痕なのだとか。姿そのものは見られなくとも、ここに生息する生物たちの存在を身近に感じられます。
また所狭しと茂る木々の隙間を縫いながら歩みを進め、木の幹の根本を見てみると、なんと!私の手のひらほどもある大きな二枚貝、ヤエヤマヒルギシジミ(別名シレナシジミ)が身を潜めていました。よくお味噌汁に入っているシジミは1〜2cmですが、このヤエヤマヒルギシジミは大きいもので10cm前後にまで成長するのだそうです。西表島のカトゥラ貝塚における発掘調査でも本種が多く出土したそうで、昔の人々にとって大切な食糧資源のひとつであったことが窺えます。
マングローブ林を抜けると浦内川と砂浜が広がっており、目を凝らさずともたくさんの生物が生息しているのが見られます。
小さくぴょこぴょこと跳ねているのはツムギハゼ。かわいらしい見た目とは裏腹に、フグと同じテトロドトキシンを持つ有毒種です。
視界の端でなにかがピューっと横切ったかと思えば、ツノメガニ。素早く砂に潜ってしまった、と思ったときがむしろチャンス!砂ごと掴んで引き上げると意外にあっさり捕獲できる…らしいのですが、私はうまく掴めず、伊藤さんが捕まえたものを持たせていただきました。次こそは自分で捕獲できるよう、リベンジしたいと思います。西表島の環境や生物相の観察ができ、とても有意義な調査でした。





