福田准教授らが開発したソーラー無人飛行機が「JEC Innovation Award 2021」を受賞しました

工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻の福田紘大准教授らが開発の中心を担った「超軽量CFRP(炭素繊維複合材料)ソーラー無人飛行機」(出展代表:東レ・カーボンマジック社)が、6月2日に複合材料の国際展示会「JEC WORLD」の代替イベントとして開催された「JEC COMPOSITES CONNECT」の「航空宇宙部門」で、「JEC Innovation Award 2021」を受賞しました。本学は共同パートナーとしての受賞になります。JEC WORLDは例年3月にフランス・パリで開催される世界最大規模の複合材料展示会。展示カテゴリーには、「自動車」「建築・建設・インフラ」「設備機器」「航空宇宙」などがあり、各カテゴリーからJEC Innovation Awardが選出されます。昨年と今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響から中止が決定し、今年は6月にオンラインでの代替イベントとして「JEC COMPOSITES CONNECT」が開催されました。

今回受賞した「超軽量CFRPソーラー無人飛行機」は、2017年度から19年度にかけて福田准教授や木村英樹教授(工学部電気電子工学科)、新井啓之研究員(現・理系教育センター非常勤講師)と学生らが、企業・研究機関と共同で進めてきたプロジェクト「衛星通信を利用するドローンの運行管理システムの開発」で製作したもの。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による公募事業「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」を受託して、スカパーJSAT㈱や宇宙航空研究開発機構(JAXA)、情報通信研究機構(NICT)と連携し、研究を進めてきました。本学は同プロジェクトの受託元であるスカパーJSAT社から再委託を受け、機体の設計・開発を担当。CFRP製部品製作は、ソーラーカーやレーシングカーで培ったCFRP成形加工技術に定評がある東レ・カーボンマジック社が担い、スカパーJSATの衛星通信技術とJAXAの遠隔地での情報モニタリング技術と自動制御技術、NICTの無線通信技術を組み合わせることで、災害が発生した際に地上通信網や交通等の社会インフラが遮断された場所などの情報を遠隔で収集できる統合システムを搭載したソーラー無人飛行機を開発してきました。

福田准教授は、「ソーラー無人飛行機の開発は、世界的にも注目が集まる研究の一つです。今回製作した機体は両翼約16m、全長約6mと大きなものですが、CFRP製の機体自体の重量は35kg程度でしかありません。NEDOプロジェクトとしての成果だけでなく、今回の受賞に繋がる成果が実現できたのは、参画した企業・研究機関がそれぞれの得意分野を生かしながら連携できたからこそ。この受賞の喜びを糧に、今後も技術・開発を続け、その成果を広く社会に還元していきたい」と話しています。また、「本学では故・平岡克己教授が着想した2012年ごろからソーラー飛行機の研究開発を続けてきました。今回の受賞はこれまで培ってきた技術や知識の大きな集大成にもなったと考えています」と語りました。