木村准教授による論文が世界最大級の学術データベース「Web of Science」の2020年度高被引用文献上位1%に選出されました

工学部機械工学科の木村啓志准教授が執筆した論文がこのほど、クライベイト社が運営する世界最大級のオンライン学術データベース「Web of Science」のPharmacology&Toxicology分野で、2020年度高被引用文献上位1%に選出されました。

世界中の研究者から多数の引用を受けた論文は、「創薬のためのマイクロ流体技術を用いたオーガンオンチップに関する総説」で、木村准教授が長年研究を続けているオーガンオンチップと呼ばれる生体模倣システムを用いた創薬研究の成果についてまとめたものです。このシステムは、微細加工によって作製されるマイクロ流体デバイスを使って生体内環境を模したもので、さまざまな臓器の細胞を培養することでその細胞の機能を維持・向上させることができる装置です。創薬において実施されている動物実験の代替法として期待されており、動物愛護の観点やヒトと動物の体の反応が異なるといった課題を解消できます。木村准教授はこの技術を生かし、本学医学部をはじめ学内外のさまざまな研究者と共同で学際的な研究に取り組んでいます。

木村准教授は、「この研究を始めた2000年代初頭は、あまり注目を集めることもありませんでしたし、同じ志を持つ研究者もわずかでした。しかし、欧米で化粧品開発での動物実験が規制され始めた2010年ごろから飛躍的に注目されるようになり、今回の引用文献上位1%選出にもつながったと思います。総合大学である本学には、多彩な研究に取り組む優秀な先生方や学生がいるだけでなく、私も在籍するマイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)をはじめ、充実した研究施設がそろっています。この研究が世界各国の研究に役立てられているのも、このフィールドがあったからこそ。今後は産学連携を加速させ、これまでの研究成果の社会実装を目指していきます」と抱負を語ります。また、MNTCの喜多理王所長(理学部教授)は、「論文の被引用件数は世界的に大学の研究力を測る指標の一つとして大変重要な数字です。『Web of Science』は世界中で利用されている信頼のおけるデータベースであり、木村准教授の成果は本当に素晴らしいもの。本センターとしても、今後もこのような国際的成果を創出していきたい」と語りました。

ここで紹介した木村准教授の論文の著者、“論文タイトル”、雑誌名、巻(号)、開始ページ ― 終了ページ (発行年)、およびdoi(学術論文の国際的な識別子)は次の通りです。
Hiroshi Kimura, Yasuyuki Sakai, and Teruo Fujii, “Organ/body-on-a-chip based on microfluidic technology for drug discovery”, Drug Metabolism and Pharmacokinetics 33(1), 43-48, (2018).

https://doi.org/10.1016/j.dmpk.2017.11.003

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