東海大学では2月21日から実施している「第53回海外研修航海」の中で、マジュロ(マーシャル諸島共和国)寄港中の3月5日にマーシャル諸島短期大学(College of the Marshall Islands: CMI)のウリガキャンパスで学術シンポジウムを開催しました。テーマは、「グローバル・シティズンシップ:日本とマーシャル諸島の学生がともに考える未来」で、国際機関「太平洋諸島センター」の後援のもと、CMIとの共催で実施しました。
本シンポジウムは、本学およびCMIの学生が、両国の暮らしからグローバルな共通課題を見出し、協議を通じて知見や経験の共有を図ることを目指して実施したものです。次世代を担う大学生が国や立場の異なる他者と出会い、共通の関心事項について共に考え合う経験を通して、能動的に社会に関与するグローバル・シティズンシップの育成に貢献することを目的としています。人権・食・環境・持続可能性等の幅広い分野から、文化コミュニケーション・教育・海洋・農業・健康の5つの分科会を設け、両国の学生にとって身近に感じられるトピックを設定し、双方の学生が活発に発言して議論を深めました。
開会式では、研修航海の団長を務める八木英一郎教授(経営学部)があいさつした後、CMIのStevenson Kotton副学長(Business and Administrative Affairs)や駐マーシャル諸島共和国特命全権大使の田中一成閣下が学生たちを激励しました。続いて、研修学生からはシンポジウムの趣旨説明と議論に対する期待などが語られ、訪問を記念して学生代表の吉田真依さん(海洋学部4年次生)からKotton副学長に五月人形の兜飾りを贈呈しました。その後、CMI学生の案内でキャンパスを見学したほか、ランチョンセッションを通じて互いに打ち解け合い、笑顔の交流が随所で見られました。
午後の学生討論のセッションは、Chair Personを務めた池谷美衣子准教授(スチューデントアチーブメントセンター)とデビット ウェイン デビッド講師(体育学部)の主導でテーマ設定と分科会の課題を提議。シンポジウム開催に向けて、CMIと遠隔ながら緻密に事前協議をし、PCを使わないプレゼンの工夫や分科会をさらに20の小グループに分割する仕掛けなども功を奏し、学生たちの議論は真剣そのもので時間が過ぎるのを忘れるほど白熱しました。閉会式では、Vasemaca. A. Savu教務部長が「ここに来たことを忘れないでください。私たちは太平洋でつながる国の学生同士です。ぜひマジュロで議論したことをお互いの国で伝え合ってください」とシンポジウムの成功を賞賛する言葉で締めくくりました。
閉会後には、CMIの学生たちからコーラスと民芸品のプレゼントが全員に配られ、揺れる船内で英語漬けの授業に耐えた学生たちの顔は、達成感に満ち溢れた笑顔で輝いていました。最後に全体写真を撮影してキャンパスを後にしました。
なお、本シンポジウムを展開した教育活動の母体は、第53回海外研修航海です。1986年から継続してきた研修航海の寄港地研修の一環として、学術シンポジウムを組み込んだのは初めての取り組みでしたが成功裡に完了し、研修航海の歴史にまた1つ新しいページを刻みました。
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