第13回マイクロ・ナノ啓発会(Tune)を開催しました

東海大学マイクロ・ナノ啓発会(Tµne)の第13回学術講演会を、2月27日にオンラインで開催しました。総合大学である本学の強みを生かし、幅広い分野の研究者が互いの研究への理解を深め、学内外との共同研究につなげることを目的にマイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)の所属教員が中心となって年2回程度開いているものです。例年は参加者が一つの会場に集まって開催してきましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて初めてオンラインで実施。医学部・理学部・工学部・生物学部・国際文化学部・農学部など全国のキャンパスから150名をこえる教員と学生が参加しました。

前半の講演会ではまず、稲津敏行副学長が講演。さまざまな国際指標をもとに東海大学の研究力や国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)への貢献度の高さを紹介しました。そのうえで、自身の研究者としての歩みを振り返り、人脈を大切にしながら、面白いと感じたテーマに積極的に挑み、謙虚さを忘れずに継続することの重要性を指摘し、「学生の皆さんには、おごらずに一生懸命、夢を追いかけ続けてほしい。若い皆さんの頑張りが、本学の力になります」と激励しました。続いて、MNTCの喜多理王所長(理学部物理学科教授)と槌谷和義教授(工学部精密工学科)が同センターとイメージング研究開発センターの活動を説明。企業や他大学との共同研究が進んでおり、アンデス文明の遺物や西洋絵画の光学分析にも利用されているといった現状を紹介しました。

後半では、参加者によるライトニングトークとオンライン・ポスターセッションを実施しました。ライトニングトークでは、ポスターセッションの参加者が90秒で自らの研究の概要を紹介。その後のポスターセッションでは、参加者が思い思いのブースを訪れ、専門分野をこえて意見を交換しました。

3月17日には、ポスターセッション参加者の中から特に優秀な発表を行った学生に対するベストポスター賞の表彰式を開催。湘南キャンパス所属の学生には喜多所長から、札幌キャンパス所属の学生には北夕紀准教授(生物学部海洋生物学科)から賞状が手渡されました。

学生たちは、「今年度参加予定だった学会も中止になる中で試行錯誤しながらこのイベントを開いてくれた先生方に感謝したい。今回の受賞に慢心せず、現在手掛けているテーマを実用化できるよう着実に成果を上げていきたい」「90秒で自分の研究を紹介するための準備は大変でしたが、社会に出てからも役に立つ、ものごとをわかりやすい言葉で端的に伝えるスキルが身についたと感じています。ライトニングトークを聞いた後にポスターセッションが開かれたので、私の研究についてもより的確に伝えることができたと感じています」「さまざまな学部やキャンパスの人と交流することで、新しい視点や発想を勉強する機会にもなりました」といった声が聞かれました。

世話人代表幹事を務めた木村啓志准教授(工学部機械工学科)と岡村陽介教授(工学部応用化学科)は、「コロナ禍で多くの学会や研究会が中止となり、学生や研究者の交流の機会が失われています。19年度末に開催予定だった第12回学術講演会も中止を余儀なくされましたが、こんな時だからこそ今年度はこの会を開きたいと考えました。厳しい環境の中、多くの学生や教員が参加してくれたことに感謝しています」と語っています。

【ベストプレゼンテーション賞受賞者一覧】

高橋 学さん(大学院理学研究科物理学専攻1年次生)
「ずり流動下で起こる高分子超薄膜の構造形成と破壊の解析」

南原 直紀さん(大学院理学研究科物理学専攻1年次生)
「光散乱法による高分子電解質のキャラクタリゼーション~未来を担うバイオマス資源キトサン~」

石井 海人夢さん(大学院理学研究科化学専攻1年次生)
「Infrared excitation visible emission phosphor of Zr-based complex oxide doped with rare earths」

谷神 絃太さん(大学院工学研究科応用理化学専攻1年次生)
「線維芽細胞増殖因子を内包した生分解性超薄膜の創製と心筋梗塞治療材料としての機能評価」

納富 拓真さん(大学院工学研究科応用理化学専攻1年次生)
「生体模倣型接着分子による撥水性ナノ薄膜の表面改質と生体組織イメージング用ツールとしての評価」

大内 桃花さん    (生物学部海洋生物科学科4年)
「Lactosucroseの給餌はコイの腸管粘液を増加させて糞塊の粘液コーティング層を厚くし崩壊を抑制する」