医学部と文化社会部の学生がモスクワ国立総合大学主催の国際青少年科学フォーラム「ロモノソフ2021」に参加しました

文化社会学部ヨーロッパ・アメリカ学科3年次生の佐藤優作さんと医学部医学科4年次生の川部大志さんが、4月21、22日にオンラインで開催されたロシア・モスクワ国立総合大学主催の国際青少年科学フォーラム「ロモノソフ2021」で講演しました。この催しは、日ロ双方の経済や言語、教育などについて研究している両国の若手研究者や学生がそれぞれの専門分野をこえて学術交流する機会として毎年開かれているものです。本学とモスクワ国立大は50年以上前から交流を深めており、昨年度には同大が主催するロシア最大の「科学フェア」の関連イベントとして流体力学に関するワークショップを初めて開催。今回も初めて学生が「ロモノソフ2021」に招待されました。

佐藤さんは21日の「日本・ロシア学際的オンラインシンポジウム」で、ユニバーシティビューロー付(国際・ユーラシア担当)のヤロスラヴァ・グラディシェヴァ助教とともに「コロナ危機をてこに大学の相互派遣で大きな成果を上げる(東海大学の実践)」と題して講演。新型コロナウイルス感染症が拡大し、学生の相互派遣が物理的に不可能になった中、モスクワ国立大と本学がワーキンググループを立ち上げて実施に至ったオンライン研修プログラムの概要と成果について紹介しました。両大学が本学の学生向けに長年提供してきた1年間の語学・文化研修プログラムをベースに、リスニングとライティングの技術を集中的に磨くプログラムを受講したことを説明。「ロシア語の授業をロシア語で受け、文中で使われている単語の一部を知らなくても意味を理解できる能力が身についたほか、ロシア語で考えごとができるようになるなど語学力が格段に上がりました。在学中にロシア語検定1級や2級にも挑戦したい」と成果を語りました。

川部さんは22日の医学分野の分科会「学生の目を通した医学教育」で「学際交流プログラムの成果:将来の医師の経験から」と題して講演。モスクワ高等経済学院と本学による中期派遣留学プログラムに参加した成果を紹介しました。最初に、国立研究大学モスクワ高等経済学院の授業を通して、さまざまな国や地域からの留学生とともにロシア経済やロシア語基礎、国際的な人権問題、国際関係論など幅広い分野について学んだことを説明。「医学教育では、専門領域や医師免許取得の難化にともなってリベラルアーツを学ぶ機会が減っている一方、さまざまな背景を持った患者に適切に対応し、多様な視点を持つことが求められるようになっている。まして海外で適切な医療を提供できる医師となるためには、対象地域の医療はもちろん、社会・経済についても理解し、社会の一員として行動できることが重要になる。将来の医療を担う私たちは、医療以外にも社会や経済など幅広い分野を学ぶ必要があると思う。3カ月の集中プログラムであれば医学部の学生でも参加しやすいため、多くの後輩たちにもこのプログラムを受講するよう勧めたい」と語りました。

佐藤さんは、「英語でのプレゼンテーションで、間違えないようにしようと思うあまり緊張し、流ちょうに話せない場面もありましたが、他の学生や研究者の発表を聞いて間違いを恐れる必要がないと感じるようになりました。英語でプレゼンする能力は将来必ず必要になるため、この経験を今後に生かしたい」と話しています。川部さんは、「今回のフォーラムを通じて、多くのロシア人が日本の医療に興味を持っており、留学にも意欲的であることを知りました。医療分野でもさらにグローバル化が進むことが予想される中、医学生がリベラルアーツを学んでおくことは今後さらに重要になると思います。今回、モスクワ高等経済学院に留学し、成果を発表する機会を設けてくれたヤロスラヴァ先生をはじめとする多くの方に感謝したい」と語りました。

※佐藤さんが参加したモスクワ国立大への派遣プログラムと川部さんが参加したモスクワ高等経済学院への派遣プログラムは、ともに本学が文部科学省の平成29年度「大学の世界展開力強化事業~ロシアとの大学間交流形成支援~」の採択を受けて展開している「ライフケア分野におけるブリッジ人材育成:主に極東地域の経済発展を目的として」の一環で実施したものです。