農食サイエンスカフェ「生物多様性と農業―バナナの種ってどんな種子―」を開催しました

熊本キャンパスでは、11月16日に熊本市・びぷれす熊日会館7階の「東海ステーション」で「東海大学&尚絅大学 農食サイエンスカフェ」を開催しました。今年7月に締結した尚絅大学・尚絅大学短期大学部と教育・研究活動の進展に資することを目的とした包括協定に基づき、10月から両大学の教員が講師を務め、全9回実施しています。5回目となる今回は、本学農学部応用植物科学科の長野克也教授が「生物多様性と農業―バナナの種ってどんな種子?―」と題して講演。地域住民ら29名が来場しました。

長野教授は、「世界の高等植物は25万種存在しますが、人類はそのうち1%しか利用していません。全く役に立たないと思われているものも、科学技術の進歩をもってすれば、未来の資源になるかもしれません」と語ります。「農作物も最初は野生植物でした。野生のトウモロコシは10粒程度しか実がついていませんでしたが、品種改良の結果、今では600粒から800粒になりました。人間は怠惰で、面倒なことを嫌いますから、”楽をしよう”という気持ちが人間の進歩につながっているのです」と語り、会場の笑いを誘いました。その後、キャベツやハクサイ、サツマイモ、ニンジン、ナスなど、身近な農作物の原種と品種改良されて日本で売られている現在の野菜の違いについて写真を交えて紹介。「皆さんが普段食べているバナナは種なしバナナですが、野生のバナナにはアサガオの種と同じぐらい堅い種があり、思いっきりかんでも割れません」と解説しました。

ウツボカズラやハエトリソウ、モダマなど未知の可能性を持つさまざまな植物を紹介した長野教授は最後に、「農業によって人類は無限の資源を手に入れました。人類が200億人になっても食べていける、それだけ農業は進んでいます。世界が平和で食べ物が均等に分配されること、温暖化など地球環境がこれ以上悪くならないこと、遺伝資源を絶やさず未来の子どもたちや孫たちにとっておくことがきちんとできれば、人類は食糧で滅亡することはないでしょう」とまとめました。

なお、開演前には熊本キャンパスで活動する茶道同好会の学生10名が和菓子を配り、お茶を提供しました。部長の熊川未来さん(経営学部3年次生)は、「講演会や講座でお茶を振舞うのは今回が初めてでしたが、おいしいと喜んでもらえてよかった。抹茶は苦い、まずいという印象を持っている人が多く、悪いイメージを払しょくしたいと思って活動しているので、このような機会をいただけてうれしく感じています。来年4月には、びぷれす熊日会館で新緑のお茶会を開くので、今回参加された方たちにも足を運んでもらえたら」と語りました。

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