OB技術士と生物学部在学生との出前授業を開催しました

生物学部海洋生物科学科では11月5日に札幌キャンパスで、望星技術士会による「OB技術士と生物学部在学生との出前授業」を開催しました。技術士は科学技術に関する専門知識と高い応用能力、倫理観などを備えたエンジニアの育成を目的とする文部科学省所管の最高位の国家資格です。本学の川上哲太朗学長補佐(海洋学部教授)が会長を務める望星技術士会は、2015年に設立され技術士の資格を持つ卒業生約200名を超える団体として活動しています。会員向けに大学施設の見学会や講演会の開催や、技術士を目指す学生に対して昨年度から出前授業も開始しました。今回もその一環として、本学科の学生に対して技術士資格の知見を深め、将来のキャリア形成の一助にしてもらうことを目的にキャリア就職担当協力のもと、出前授業が企画されました。

当日は本学科生約40名が出席し、技術士4部門を取得された笠原勉副会長代表(海洋学部1974年度卒・一般社団法人全国水産技術協会シニア技術専門員)が講師を務め、いであ株式会社中国支店河川水工部技師長の久一博世さん(同73年卒)や札幌市内の建設コンサルタント業に勤務する卒業生5名も参加されました。まず笠原副会長が講演し、第1部として技術士資格の概要と重要性、建設業界における公共事業の入札・受注や管理技術者の資格条件を解説。さらに、技術士の業務取得での役割やプロポ-ザル方式で受注された業務の具体的な提案事例を紹介されました。

「生物学部の皆さんが対象となる技術士補試験では、生物・生態系の知識を生かし、生物工学・環境・水産部門が適切です。4年間の学びの集大成として挑戦してください。どの部門の受験でも大学で学ぶ知識と幅広い専門分野の勉強が必要で、贈呈した基礎・適性に関する図書の参考が合格の近道であり、就職先で胸を張って誇れる資格を目指してください。私の長い人生を振り返れば、やりがいのある仕事につき、楽しんで仕事に向き合えば自分の力が十分発揮できます。在学中に取得した技術士補の資格を生かして、就職活動で海洋生物学科を生かせる就職先をぜひ選んでください」と熱く語りかけました。

第2部では、自らが専門とする日本沿岸の藻場の種類と役割・生態系、北海道で近年問題化しているコンブが減少し漁業生産が低下する磯焼けの要因を詳細に解説されました。さらに、磯焼けした北海道各地の沿岸域における鉄イオンを活用したコンブ場の再生事業の施工方法と、その成果をドロ-ンによる航空写真で解かりやすく紹介されました。また、終わりに久一さんが「技術士の資格は自信をもって実社会で活躍でき、70歳を過ぎても第一線では働けますので、なにか質問があればぜひ連絡をください」と呼びかけ、本学科の櫻井泉教授が今年度の資格試験の概要を説明しました。

講演後の質疑応答では、コンブ場磯焼けと再生技術のメカニズムに関する質問が相次いだほか、個別に技術士補の試験について講師や卒業生らに熱心に質問する姿が見られました。なお、望星技術士会からは学生の資格試験受験に役立ててもらおうと選定した『基礎・適性』科目に関する参考書2冊が、本キャンパスの図書館に寄贈されています。