文化社会学部北欧学科のサマーセッション科目「北欧の環境と暮らし(北欧の自然と環境)」(担当教員:柴山由理子准教授)で、8月7日から10日まで北海道東川町でのフィールドワークを実施しました。本学と同町は、教育、文化、産業、まちづくりなどの分野において相互に協力し、地域社会の発展と人材育成に寄与することを目的とした協定を2019年度に締結しました。協定締結後初めての試みとなった今回のフィールドワークは、北欧諸国の自然環境やデザイン、まちづくりなどについて、北欧諸国と環境が類似している同町から学ぼうと企画したもので、履修学生17名が参加しました。
8月5日には湘南キャンパスで事前講義を実施。学生たちは北欧諸国の地理的・自然的特徴が人々の暮らしにどのように影響しているか学んだ後、自身の関心に合わせ、「教育」「デザイン」「暮らし・自然」「文化・多文化共生」の4グループに分かれて、住民への質問項目を作成しました。東川町での滞在期間中は、町役場庁舎や複合交流施設「せんとぴゅあ」、東川小学校、デンマークのフォルケホイスコーレをモデルにした学校「School for Life Compath」などさまざまな施設を見学。各地で職員や移住者、教育関係者、現地の高校生らと交流しました。学生たちは各地で、「東川町に住む人が豊かに暮らせている理由は?」「若者をどのように引き付けているのか」「職員の働く環境は?」といった質問を投げかけました。また、アイヌ文化・大雪山文化を発信するために東川町が製作した映画『カムイのうた』も鑑賞しました。さらに、椅子などの家具、日用品に関する世界でも著名な研究者の一人で、「文化と芸術によるまちづくり」を目指す同町のまちづくりにアドバイザーとして関わる本学の織田憲嗣名誉教授の自宅も訪問。織田名誉教授の説明により北欧デザインの椅子を中心とした「織田コレクション」を見学したほか、特別講義も行いました。
学生たちは、「行政と民間の距離が近く、移住してきた人がとても満足しているように感じた」「東川町で生まれた子どもに手作り椅子を送る『君の椅子プロジェクト』がすてきだと思った」「私も移住したいと思った」「織田先生の“安いものをすぐ買い替えるのでなく、いいものをなるべく長く使い続ける”という考えは、今の安価な商品がたくさん売られている時代に必要な考えだと感じた」といった感想が聞かれました。柴山准教授は、「東川町は人口8500名ほどの小さな自治体でありながら、北欧と共鳴するような豊かな暮らしを実現しており、学生が日本の将来を考えるには適切なフィールドです。最終日の町役場職員に向けた最終報告会では、“学生が輝いていた”と講評を受けるほど、生き生きと学ぶ姿が見られました。学生にとってさまざまな刺激を受ける良い機会になったのでは」と話しています。