健康学部健康マネジメント学科の「フィールドワークB」の授業でこのほど、「5号館バリアフリーマップ」を作成しました。この授業では、身近な健康課題を発見し、自主的な調査や研究を経て解決を目指しており、学生と教職員のQOL向上を目指す「東海大学KENKOプロジェクト」の活動と連携しています。今回は、車いす使用者や高齢者に情報を提供することで、安心して生活できるようサポートしようと、3年次生の石井茜さん、佐藤みなみさん、田島美里さんが幅60cmの車いすに乗って本学部の学びの拠点である5号館を調査してまとめました。
田島さんは、「車いすに乗ったのは初めてでしたが、普段の生活では気にしていなかったわずかな段差でも移動しづらいと感じました。5号館は屋外に1階から屋上まで続くスロープが設けられていてバリアフリーだと思っていましたが、実際には角度が急で車いすでの上り下りは難しかった」と振り返ります。佐藤さんは、「押しボタンが低い位置にあるエレベーターが設置されているなど、バリアフリーに考慮した場所も多くありましたが、くぐり戸付きの防火扉は車いすに乗ったままでは進むことができないといった現状に驚きました。安価なスロープで段差をなくすなど、対策をしていく必要がある」と提言。マップでは、「多目的トイレは面積が広く、車いすでも方向転換がしやすい」一方、一般トイレの「個室トイレの入り口は55cmで、車いすに乗ったままでは中に入ることはできませんでした」「自動販売機の上段のボダンは162cmの高さにあり押しづらかった」など、感想を交えながら紹介しており、石井さんは、「バリアフリーの大切さを多くの人に知ってもらえるように工夫しました。今回は5号館だけでしたが、キャンパス内の他の建物も調査し、支援を必要としている人に情報を伝えられれば」と語りました。
指導に当たった阿部正昭教授は、「キャンパス内のバリアフリーマップ作成は初めての取り組みでしたが、3人とも非常に熱心で、期待以上のものが出来上がりました。今後は湘南キャンパス全体に活動を広げていきたい」と展望を語ります。車いすユーザーでもある古城隆雄准教授は、「真っすぐ平らに見える道も、水はけをよくするためにやや傾きが設けられているなど、車いすをうまく押せない場所は多々あります。学生たちは実際に体験することでわかりやすくまとめてくれたので、別の授業でも教科書として活用できます」と話していました。