【おしえてセンセイ! 16】プロパイロットが足りないってホント?

A.足りなくなる可能性があるため、いまから準備が必要です

工学部 航空宇宙学科 航空操縦学専攻 髙橋 誠 先生

日本では年々、外国人観光客が増えていて、彼らの足となる飛行機の需要も増え続けています。ところが、今後はその需要にプロパイロットの数が追いつかない可能性が出てきているのを知っていますか? その背景にあるのが2030年問題です。このころになると経験豊富なパイロットが一気に定年退職を迎え、その数が大幅に減ると予想されているのです。

そのため、航空業界ではパイロットの増員を図っているのですが、大きな問題が一つあります。入社してから機長になるまでには10年から15年ほどかかるのです。そのため、足りなくなったからすぐ補充、とはいきません。しかも担当する飛行機の型式(ボーイング787など)ごとに資格を取らなければなりません。大学在学中に国家資格のライセンスを取ったとしても、それだけでは旅客機は操縦できないのです。多くの乗客の命を預かる以上、プロパイロットはその仕事を辞める時まで試験やトレーニングの連続です。技術的にも、「機体が揺れないようにする」「定刻に着く」といった安全と快適を保てる高いクオリティが求められます。

パイロットには、人間関係を築く力も重要です。日々機長を務めながら、私の仕事はオーケストラの指揮者に似ていると感じています。機内で最も責任のある人間として指揮をとり、仲間たちと協調しながら仕事を成し遂げていく。いつもと違った状況でもいつも通りに何事もなく到着した時には、大きなやりがいを感じます。良好な人間関係を築く力を身につけるためには、先生や指導者からアドバイスを引き出すくらいの向上心と積極的なコミュニケーションを心がけてほしいですね。ミスをしてしまっても人の意見に、素直に耳を傾け、自分の未熟さに正面から向き合う姿勢も大切です。

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東海大学航空宇宙学科航空操縦学専攻では、専門性の高い教員に加え、ANA(全日本空輸株式会社)から出向している私のような現役のキャプテンが、パイロットに期待されている現場のリアルな声を交えながら指導にあたっています。学びの流れとしては、まず1年次は米国・ノースダコタ大学への留学に備えて英語力を磨き、基礎知識を学びます。2・3年次は留学先で共同生活を送りつつ、飛行訓練を重ねて日米の事業用操縦士ライセンス取得を目指します。そして4年次にはフライトシミュレーターでの訓練や卒業研究などに取り組みます。その道のりは平坦ではありませんが、仲間と助け合いながら笑い涙するドラマチックな瞬間がたくさんあります。

長くて厳しい過程を前に、時には迷いを口にする学生もいます。そんな時には、「とりあえず、飛べるところまで頑張ってごらん」と言っています。一度、自分の力で空を飛ぶことができれば、その素晴らしい体験が間違いなく背中を押してくれますから。充実したプログラムのもとで、あなたも未来のプロパイロットを目指してみませんか?


たかはし・まこと 1962年大阪府生まれ。神戸大学工学部卒業後、住友電気工業株式会社にシステムエンジニアとして勤務。1988年に当時十数年ぶりに再開された全日本空輸株式会社パイロット自社養成の1期生として入社。基礎訓練、実用機訓練、副操縦士を経て2000年より機長。全課程の教官、B767型式部部長、人財開発部部長を経て2022年に東海大学工学部航空宇宙学科 航空操縦学専攻に着任。専門は乗員養成。