原子力工学科3年次生の栗城さんが日本原子力機構主催のシンポジウムでパネリストを務めました

工学部原子力工学科3年次生の栗城祐輔さんが昨年12月8日に、オンラインで行われた核不拡散・核セキュリティに関する国際フォーラムの学生セッションでパネリストを務めました。この催しは、日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ統合支援センター(ISCN)が主催する国際フォーラムの前夜祭として学生が中心となって議論するオンラインのシンポジウムであり、昨年8月に実施した夏期実習に参加した学生の代表者が実習の成果を紹介し、ISCNの今後のあり方などを議論するものです。

栗城さんは、夏期実習で気象データを用いて大気中の放射性物質の移動や拡散の状態を分析する大気輸送モデル「HYSPRIT」を使ったシミュレーション技術について研修。今回の学生セッションでは、「HYSPLITを用いた核実験によるキセノン133の拡散予測および解析」のテーマで、さまざまな気象条件下で北朝鮮が核実験を行った場合に放射性物質がどのように飛散されるか解析した結果を発表し、そのデータをもとに、放射性物質の飛散状況を記録する国際的なモニタリングステーションの最適な設置場所についても提案しました。

発表の後のパネルセッションでは、他大学から参加した3名の学生とともに核不拡散・セキュリティの今後や日本原子力研究開発機構の役割などについて議論。「小規模な核技術が今後、地域的な紛争などで使用される危険性が高い」と指摘し、「唯一の被爆国として核兵器の恐ろしさを中小国に積極的に発信し、各国の関連機関と連携してより使用にくい環境を醸成することが大切」と提案しました。

栗城さんは、「子どものころから気象現象に関心があり、その知識と原子力工学を結び付けて考えられる『HYSPRIT』に関心を持ち、この実習に参加しました。原子力研究開発機構の施設で実際にHYSPRITが使われている現場に触れられたことは貴重な体験になりました。またシンポジウムでは、核セキュリティや核不拡散の専門家を前に意見を発表し、議論できたのも重要な経験になったと感じています。『この分野をもっと深く学びたい』と目標も明確になりました。今後は卒業研究などを通して、どうすれば核兵器によって誰かが傷つくことのない社会を実現できるのか考察を深めていきたい」と話しています。