大学院工学研究科の次田さんが日本画像学会編集委員長賞を受賞しました

大学院総合理工学研究科総合理工学専攻1年次生の次田将大さん(指導教員=工学部 光・画像工学科 前田秀一教授)が昨年12月22日に、日本画像学会編集委員長賞を受賞しました。第125回日本画像学会研究討論会のポスター発表参加者の中から、特に優れた発表に贈られるものです。

次田さんは「ポリピロール―ITO導電性インクの合成と応用」のテーマで発表しました。この研究は、電気を通す有機物である「ポリピロール」と酸化インジウムスズ(ITO)を混ぜ合わせて、環境負荷が少なく使い勝手のよい新たな導電性インクの開発を目指すものです。これまで電気回路を作る際には導電部品に金属を使うのが一般的でしたが、不要になった後に基板から取り外すのが難く処理コストの増大などにつながっていました。近年では、界面活性剤などを使って焼くことで金属分子を細かくしてインクにする技術の開発も進んでいますが、高温で焼く必要があるといった課題がありました。次田さんは、ポリピロールにITOを混ぜた時に発生する静電気的反発力よって分子を分散させ、室温に近い状態でインク状にする手法を提案しました。

受賞を受けて、「私が手掛けてきた研究を評価してもらえたことに感謝しています。新型コロナウイルス感染症の拡大によって思うように研究が進まないという制約が多い中でも、『今の環境を言い訳にはできない』と頑張ってきて本当によかったと感じています。有機材料で作った導電性インクが実用化できれば、薄い紙状のものの上に回路を描いて折り曲げて使ったり、廃棄の際にも環境への負荷を大幅に低減したりできるなど、持続可能な社会な社会づくりにも大いに役立つと期待しています。今後もしっかり研究を重ね、その実現に貢献したい」と話しています。