千葉教授と内田講師が執筆した『大学生の固体物理入門』が刊行されました

工学部精密工学科の千葉雅史教授と内田ヘルムート貴大講師が執筆した『大学生の固体物理入門』(監修=小泉義晴名誉教授)が9月27日に共立出版から刊行されました。

固体物理学は、金属や半導体、磁性体など、物質のさまざまな性質を合理的に説明する物理学です。スマートフォンやタブレット端末など身近な生活用品で広く使われている半導体やセラミクスなどの機能性材料の性質を扱ううえで欠かせない学問分野で、高校で学ぶ化学・数学・物理が基礎になります。千葉教授は、「材料のさまざまな性質は、原子の構成粒子の一つである電子の動きで決まります。その振る舞いを正確に知り、物質が持つ諸性質(電磁気的・熱力学的・弾性力学的・光学的など)が生みだされる謎について学ぶのが固体物理学です」と話します。

本書は、固体物理学の概念を手ごろな分量で網羅的に理解できる入門書として執筆。各章の冒頭に「Key Point」を、節のはじめには「キーワード」をつけて各章節の目的や内容を把握しやすいようにしたほか、重要な項目や専門用語は「NOTE」で解説することで初学者でも理解しやすいよう工夫されています。また例題を数多く取り入れて、数式などの途中計算も省略せずに解説することで、知識の整理と自学自習の助けとなるような配慮もされています。

「日々の授業では常に、イメージしにくい事柄でも学生に分かりやすく伝えることを第一に考えて資料を作ってきました。本書には、これまでの成果をすべて投入し、高校時代に数学が苦手になってしまった学生にも内容を理解し、数式を現象理解の道具として使える力もつくよう工夫しています。私自身、学生の頃にこの学問に出会った時、『固体物理学は難しそう』と感じながらも、毎週ワクワクしながら授業を受けた記憶があります。この本を通して、材料科学の新しい領域を切り拓くことのできるこの分野の魅力も感じてもらえれば」と話しています。