吉田一也教授らの研究グループが経済産業省戦略的基盤技術高度化支援事業に採択されました

工学部精密工学科の吉田一也教授らの研究グループがこのほど、経済産業省戦略的基盤技術高度化支援事業に採択されました。同事業は、企業が大学、公設試験研究機関などと連携し、製品化につながる可能性の高い研究や試作品開発などを支援するもの。採択期間は3年で、市場ニーズを踏まえた高度な技術の社会実装化が期待されています。

吉田教授は、線材の引抜きに携わる東邦インターナショナル株式会社、泉ダイス株式会社、地方独立行政法人山口県産業技術センター、エセックス古河マグネットワイヤジャパン株式会社と連携し、「電動車向けモータ用巻き線の高品質・短納期製造を可能とする異形引き抜き工具製造技術の開発」に取り組んでいく。自動車業界では、温室効果ガスの実質ゼロを目指し、ガソリン車から電気自動車への転換が進められており、モータのさらなる軽量化と高性能化に向けた技術開発が精力的に展開されています。その一つが、モータに巻く銅線(モータ用巻き線)をこれまでの円形から異形断面とし、導体の占有率を上げる技術ですが、現状では部品開発時の工程設計や工具の開発方法が確立されていません。そこで吉田教授は、デジタル加工技術を用いた仮想工程設計法「有限要素法(FEM解析)とCAD」を用いて、短納期でモータ用巻き線の製造を可能とする工具の設計法を検討しています。今後、FEM解析で導き出されたシミュレーション結果を連携先の企業や研究機関に展開し、高品質モータ用巻き線の製造試作を行い、実用化を目指します。

吉田教授は、「自動車業界で最もトレンドな研究開発・技術ではあり、産官学が連携研究をすることで早期によりよい成果を出し、実用化を目指していきたい と話しています。脱炭素社会や持続可能な社会の実現(SDGs)に近づく研究でもあるので、本学の知を社会貢献につなげられるよう尽力していきます。