工学部生物工学科の三橋弘明准教授がオンラインで「アカデミックカフェ」を開きました

工学部生物工学科の三橋弘明准教授が3月25日にオンラインで「アカデミックカフェ」を開きました。三橋准教授は昨年夏、東海大学総合研究機構の「クラウドファンディング型社会発信研究補助計画」に研究課題「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの治療法を開発する!」が1次採択され、学術系クラウドファンディングサイト「academist(アカデミスト)」で研究費の支援を公募。同計画は東海大学とサイトを運営する株式会社アカデミストとのパートナーシップ契約に基づくもので、三橋准教授は目標金額を達成し現在研究活動に取り組んでいます。「アカデミックカフェ」は寄付者へのリターンとして企画し、研究の進捗状況や今後の展望を紹介しました。

DNAの変化によって発症する顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)は、「DUX4遺伝子」から産生される2種類のタンパク質「DUX4-fl」と「DUX4-s」のうち、「DUX4-fl」によって筋細胞が破壊されて顔や肩、腕の筋肉がやせ衰えていく難病です。三橋准教授は、「DUX4-s」を検出するための抗体の作製に挑戦し、「DUX4-fl」から細胞を保護する方法を検討します。

アカデミックカフェでは、DNAを増幅させる「PCR装置」やタンパク質を分離する機械など、実際に研究で使用する機材をはじめ、筋肉の働きを調べるために飼育している魚「ゼブラフィッシュ」の遺伝子改変についても紹介しました。続いて、抗体開発プロジェクトの進捗状況を報告。コンピュータによる予測を用いた「DUX4-s」のタンパク質立体構造の予測や、動物を用いた抗体作製の過程などについて解説。さらに、現時点では1つの抗体が完成していることから感謝の思いを語り、「1つ目の抗体の数値や検査結果から、研究に使えるレベルの品質が確認でき、手応えを感じています。抗体の感度向上など課題はまだありますので、新たに作製している4つ抗体から、さらに感度のよいものができることに期待しています」と話しました。

最後には質疑応答も行われ、今後に向けた具体的なプランについての質問に、三橋准教授は、「抗体を作ることで『DUX4-fl』と『DUX4-s』の割合や量を測定し、『DUX4-s』の量を増やす薬を作る次の段階に進んでいきたいと考えています」と答えました。