教養学部芸術学科の池村明生教授がこのほど、環境芸術学会の学会賞を受賞しました。同学会は、宇宙環境から身体環境へ広がる幅広い領域における創造活動を対象に、会員相互のコミュニケーションとともに、観賞者や市民の側との相互評価によって新しい社会の構築を図るための活動を展開しています。同賞は環境芸術学の学術的前進、表現の進展、各種社会貢献、啓発、学会運営に対する貢献などへの功績を顕彰するもの。12月10日に東京工科大学で開かれた同学会の第24回大会で授与式と記念講演会が開かれました。
池村教授は、本学着任前からアートやデザインの展覧会やイベントに携わり、各地のパブリックアート事業のプロデュースやコーディネートを手がけてきました。2007年の着任後は、「エンターテインメントデザイン」をキーワードに教育・研究活動に取り組んでおり、地域連携センター所長(現・学長室地域連携担当部長)として湘南、伊勢原キャンパスの近隣市町村を中心にデザインを通じた地域連携活動にも学生と共に携わってきました。昨年度には学生たちとの活動をまとめた著書『まきこむ・たのしむ・はぐくむ エンタメプロジェクト エンターテイメントデザインによる地域連携の取り組み』(東海教育研究所)を刊行。大学と地域をつなぐ各種プロジェクトを振り返ると共に、それらの意義と可能性を俯瞰的に論じました。今回の受賞は、同書の内容から池村教授が芸術と社会をつないできた経験を生かし、大学における芸術教育や社会貢献のプロジェクトに生かした様子が詳述されており、環境芸術研究を発展させる重要な研究成果であり地域連携の参考書となり得ることが評価されました。
記念講演で池村教授は、1985年に入社した株式会社環境計画研究所で取り組んできたアートやデザインに関する展覧会の企画運営、パブリックアートのプロデュースやコーディネート業務について紹介。地域やまちづくりに関するデザインコンサルテーション業務などの仕事に携わった後、本学教養学部で「エンターテイメントデザイン」をテーマにデザイン教育や地域連携プロジェクトの数々を振り返り、「私自身、アーティストでもデザイナーでもなく裏方の仕事をしてきたと認識していますが、その仕事には常に“社会におけるアートの価値とは何なんだろう?”という疑問形を持って取り組んできました。大学における教育においても同じ考えから、常に実施・実践・実現を目指し、アーティストだけでなく、建築家、住民、さまざまな人が介在する『みんなのプロジェクト』が大切だと考え、書籍のタイトルにもその思いを込めました。今回の受賞は、裏方の仕事にスポットを当てていただき大変光栄です」と話しました。