公開セミナー「北欧とイノベーション」を開催しました

情報通信学部では3月12日に高輪キャンパスで、公開セミナー「北欧とイノベーション 北欧を通じて日本の未来を考える」を開催しました。国民一人当たりの国内総生産(GDP)が世界でも最も高い水準にあり、創業から短期間で大きく成長する「ユニコーン企業」が数多く誕生している北欧諸国の制度や政策などを学び、日本が将来進むべき方向性を考えるきっかけにしようと企画したものです。当日は、北欧5カ国(フィンランド、デンマーク、スウェーデン、アイスランド、ノルウェー)の大使館に勤務する参事官とノルディックイノベーションハウス東京の担当者が講演。オンラインでもリアルタイムで配信し、約140名が参加しました。

最初に、文化社会学部北欧学科の柴山由理子講師が北欧諸国を取り巻く近年の情勢を紹介。かつては高福祉国家や男女平等が進んだ国々というイメージが一般的でしたが、近年はイノベーションや社会のデジタル化が進んでいる点が注目を集めていることを紹介しました。各国の参事官らによる講演では、「幸福」の概念を社会全体のものとしてとらえ、「よいものを他の人と共有してよりよくしていこう」という考えが国民の間で強いことや、その結果として社会への信頼度が高くなっているフィンランドの状況、高度なデジタル社会の実現には行政や司法への国民の信頼を高い次元で保つ必要があることが語られました。また、数多くのユニコーン企業が生まれる背景には、人々が自由に発言し、性別に関係なく活躍できる社会となっていること、仮に失敗してもやり直しの利く社会制度になっていることへの指摘もありました。

第2部のパネルディスカッションでは、新型コロナウイルス感染症が北欧諸国に与えた影響やイノベーションを生み出し続ける要因について議論。何事も人々の使いやすさや安全を重視する「人間中心」の考えに立ち、コロナ対策でも常に次のステージを見越した対策を政府が迅速に発表するようになっていることや、「人間中心」という文化を社会に根付かせるためには教育の果たす役割が極めて重要になることなどが語られました。

【当日のアーカイブ動画】
http://www.tcc.u-tokai.ac.jp/seminar/

【登壇者一覧】
柴山由理子講師(文化社会学部北欧学科)
「北欧諸国の概要」

テッポ・トゥルッキ氏(駐日フィンランド大使館商務部参事官)
「フィンランド:デジタル化と幸福」

寺田和弘氏(駐日デンマーク大使館上席政治経済担当官)
「デンマーク:政府のデジタル化と社会の信頼」

マルケス・ジェイコブ氏(駐日スウェーデン大使館参事官)
「スウェーデン:変革のためのイノベーション」

ハルドル・オーラフスソン氏(駐日アイスランド大使館商務担当官)
「アイスランド:イノベーションとジェンダー格差への取り組み」

マリアンネ・ベルグ氏(駐日ノルウェー大使館科学技術・高等教育参事官)
「ノルウェー:人間中心のデジタルトランスフォーメーション」

ニコラス・カルヴォネン氏(ノルディックイノベーションハウス東京コミュニティディレクター)
「ノルディックイノベーションハウス東京とノルディックスタートアップエコシステムの紹介」