医学部医学科整形外科学領域が市民公開講座「ひざ痛と正しく付き合うために」を開催しました

医学部医学科外科学系整形外科学領域では9月25日に東京都・大手町サンケイプラザで、市民公開講座「ひざ痛と正しく付き合うために<医師と一緒に考える最新治療と研究>」を開催しました。本領域の佐藤正人教授(総合医学研究所次長)が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「再生・細胞医療・遺伝子治療プロジェクト 再生医療等実用化研究事業」の採択を受け、東京科学大学、北里大学と連携して展開している「変形性膝関節症に対する多血小板血漿(PRP)関節内注射の有効性検証医師主導治験:多施設無作為二重盲検比較試験」(PRP治験)のアウトリーチ活動の一環で実施したものです。オンラインを併用し、患者や家族をはじめ、医療関係者や大学・企業の研究者ら約180名が聴講しました。

初めに佐藤教授が開会の言葉を述べ、開催の趣旨を説明。続いて、AMED再生医療研究開発課係長の今村千早氏が、政府が定める「健康・医療戦略」に基づいて進めている「再生・細胞医療・遺伝子治療プロジェクト」の概要や成果を紹介しました。PRP治験の代表者を務める佐藤教授は、有効性の検証が不十分で効果の差が著しいにもかかわらず自由診療で行われているPRP関節内注射の課題を指摘し、本治験の意義と概要を説明。「有効性の確認と効果に関与するバイオマーカーの特定ができれば、鎮痛剤、ヒアルロン酸注射などの保存療法と手術療法の間を埋める第三の選択肢として、また究極のプレシジョンメディシン(個別化医療)として保険診療で提供できる可能性があります。治験の最終報告に向けて、患者さんから得られたデータの解析を進めていきます」と語りました。

東京科学大学再生医療研究センター長の関矢一郎氏は、変形性膝関節症の進行過程やひざのクッションとなる半月板の役割、痛みが生じる原因を、MRIの三次元画像を用いて解説。「ひざの痛みの多くは適切に動かすと改善する」と語り、ひざを長く元気に保つための体操や日常生活における留意点を紹介しました。北里大学メディカルセンター整形外科部長の占部憲氏は、科学的根拠に基づいて安全性と有効性が認められた安心して利用できる治療法を「社会的共通資本としての医療」と定義し、「治験はそうした医療を育てるためのプロセスかつ実践であり、治験参加者も本講演の参加者も、社会共通資本としての医療の実践者であると思います」と語りました。

その後、講演した3名の医師が、「保存療法の適用と限界」「PRPの追加投与の効果」「自己軟骨細胞シートによる治療の展望」といった聴講者からの質問に回答。最後に、AMEDプログラムスーパーバイザーの小澤敬也氏が講評し、「変形性膝関節症に対する理解を深められたと思います。PRP関節内注射に関する医師主導治験により有効性と安全性が明らかになり、保険診療として提供されることを期待したい」と結びました。

※当日のプログラムは以下のとおりです。
【開会挨拶】
佐藤正人教授(東海大学医学部医学科外科学系整形外科学領域、総合医学研究所)
【講演】
◇「再生医療の実用化に向けたAMEDの取組について」
 今村千早氏(国立研究開発法人日本医療研究開発機構 再生・細胞医療・遺伝子治療事業部 再生医療研究開発課係長)
◇「変形性膝関節症に対する多血小板血漿(PRP)の治験について」
 佐藤正人教授
◇「ひざの健康を守るために―3D-MRIで見えてきた変形性ひざ関節症の新しい理解―」
 関矢一郎氏(東京科学大学再生医療研究センター長)
◇「『社会的共通資本としての医療』を実践する」
 占部 憲氏(北里大学メディカルセンター整形外科部長)
【質疑応答】
◇「整形外科医が質問にお答えします~変形性膝関節症治療、医師主導治験について~」
 佐藤正人教授、関矢一郎氏、占部 憲氏
【講評・閉会挨拶】
小澤敬也氏(国立研究開発法人日本医療研究開発機構プログラムスーパーバイザー)

【共催】東海再生医療研究会
【協賛】国立研究開発法人日本医療研究開発機構

※軟骨再生医療の詳しい情報は下記のURL、二次元コードからご覧いただけます。
◇整形外科領域 軟骨班HP
 「東海大学における軟骨再生医療
」
https://cellsheet.med.u-tokai.ac.jp/

※本講座のパンフレットとオンデマンド配信(11月30日まで)をご覧いただけます。
 下記のURL、二次元コードからお申込みください。 
◇市民公開講座「ひざ痛と正しく付き合うために」専用HP
https://prp.med.u-tokai.ac.jp/