医学部

医学科

医学部を知る2 特徴的カリキュラム

東海大学医学部における6年間は、通常の「医学的知識や技術の修得」の他に、「良医の資質」を身につける大切な期間でもあります。また、カリキュラム上では見えない「学習の支援」としての独自の工夫も随所に凝らされています。ここでは、医学部における6年間の学習の全体構成と、独自の工夫について紹介します。

1年次

湘南キャンパスにおける週3日間の「一般教養」と、伊勢原キャンパスにおける以下のような授業を通して、幅広い人間性と医学学習の基盤を養います。

医学全体の理解&医学英語の基礎

医学英語

英文の医学教科書を使い、少人数学習をします。この授業を通して、医学の全体像を把握すると同時に、医用英語に慣れ親しみます。

身に付く資質

コミュニケーション力

グループ別テーマ学習

医学入門

グループに分かれて医療諸問題からテーマを選択し、関連する資料や情報を探し、ディスカッションを重ね、現状分析・主な原因・解決や改善方法をまとめて発表する授業です。情報収集と、根拠ある結論を導く方法を体験しながら学びます。

身に付く資質

実践力

コミュニケーションスキル実習

人間関係学(1)

NHKアナウンサーを講師に招き、言葉遣いなどのマナーを学ぶ特別講義を実施します。伝わる言葉、適切な態度などについて気付きを促します。

身に付く資質

コミュニケーション力

付属病院の現場を知る

人間関係学(1)/個別体験学習

見学の様子

人間関係学(1)の初期病院研修では、医学的な知識をまったく持たない状態で高度救命救急センターで医療現場の見学実習をします。 また、個別体験学習では、3週間にわたって付属病院の外来、救急当直、看護部門、検査部門、事務部門などの部署や研究施設に順次配属され、日常業務を体験します。病院業務の現場に実際に身を置き、それぞれの部署で働くスタッフの業務を知る事で、各部署の視点から医師の立場や役割などを見据え、医師に求められる要件をより深く理解する事ができます。

身に付く資質

コミュニケーション力、実践力

1年次の学習の締めくくり

学生ワークショップ

「良医とは何か」について、KJ法などの情報整理や論理的思考の方法を駆使し、またグループでの討議などを通して各々が考え、医師の目的を再確認する研修会です。

2年次

分子と細胞、遺伝、基礎生物学など医学の基本となる、身体の働きについて学びます。また、周辺医療への理解を深める取り組みも始まります。

e-learning

人間関係学(2)など

「e-learning(イーラーニング)」と呼ばれる、パソコンを利用した基礎知識学習も取り入れています。学習テーマとしては「クリニカルコミュニケーション(臨床における面接の方法)」「インフォームドコンセント(医師が患者に対して診療や治療内容について事前に説明して納得を得る)」「個人情報と守秘義務」などです。
e-learningでは、文字情報、音声、画像、映像などを交えて自習型の学習が可能であり、時間や場所の制約が無く、繰り返し確認する事ができるという特徴があります。

身に付く資質

広い視野

周辺医療の体得

人間関係学(2)

派遣実習の様子

学外の介護施設・養護施設で1週間の派遣実習を体験します。様々な支援を必要とする方々の生活に直接かかわる事で、それまでに身につけた能力を実際に活用しつつ、周辺医療の現場を体験的に理解していきます。

身に付く資質

コミュニケーション力、広い視野

3-4年次

まずは正常な人の働き(生理学)や病気状態について学習し、続いて基本臨床能力の準備を行います。臨床医学はCBT(Computer Based Testing)によって、基本診療学は臨床技能試験OSCE(Objective Structured Clinical Examination)によって学習到達度を測定します。

PBL(Problem-Based Learning)

生理学など

「生理学」では、人の正常機能の仕組みを学びます。講義とテキストブックによる受動的な詰め込みでは、知識を自分のものにする事ができません。そこで6~7人のスモールグループによる「PBL」を取り入れています。
「PBL」とは、実際の患者さんの症例を用いてチューターの助けを借りながら「問題点」を見つけ出し、それを解決していく過程を通して学習していく方法です。各自が問題意識を持って主体的に取り組む事によって、より深い理解を導くきっかけとなります。また、医療の現場で求められる知識の応用力、自習力、能動的な学習(Active Learning)の姿勢の獲得などにもつながっています。

身に付く資質

コミュニケーション力、実践力

医学の専門学習

臨床医学A/臨床医学B/基本診療学

症例をベースに、関連する臓器の構造や機能といった基礎的な知識から、病態や治療などの臨床的な知識までをトータルに学びます。ケーススタディでは疾患例を元に、前述のPBLが活発に行われます。

身に付く資質

実践力

医療面接

クリニカル コミュニケーション

「自分ではちゃんとしているつもりでも、他人から見れば気になる」という点は、誰しもあるものです。それは服装だったり、言葉遣い、姿勢や、ちょっとした癖などの場合もあります。 医師という仕事に求められるのは「他人から見た自分」を認識する事です。この授業では模擬患者さんとの医療面談を通して、自分自身を客観的に認識する方法、医師に求められる態度・技能とは何かについて学びます。

身に付く資質

コミュニケーション力

5-6年次

基本臨床能力の実践、向上のための年次です。現場での実習を通して学習の仕上げを行います。
また、集中講義など国家試験へ向けた対策、準備もこの時期に行います。

参加型臨床実習

クリニカル クラークシップ

学生がスチューデント ドクターという立場で医療に参加し、現場での思考法(臨床推論)などに触れながら医師としての総合力を身につけます。
1クール2週間を基本に各診療科を巡回するクリニカルクラークシップで、東海大学ではいち早く1997年から実施。このため、受け入れ側の体勢や指導スタイルも確立されており、代表的なものとしては、学生と指導医が互いを評価するシステムや、レクチャーを受ける全ての人が積極的にディスカッションに参加するカルチャーなどがあります。

身に付く資質

コミュニケーション力、実践力

学外病院実習

医師会コース/自己開拓科目(海外派遣留学制度)

学外の病院、地域医師会の医院や診療所、もしくは自己開拓した病院や開業医の下での臨床実習を行います。この制度を利用して、期間中に海外留学をする事も可能です。

身に付く資質

コミュニケーション力、広い視野


1年次から6年次までの継続支援

在学中には、学ぶべき分野の広さにしばし呆然とし、自信を失いかけてしまう場面もあるでしょう。 そんな時、学生と教員との距離が最も近い「少人数教育」や、年次ごとに同年の学友や教員たちと催す「懇話会」などが、学生の皆さんの大きな心の支えとなります。


その後

以上のような6年の学びを経て、大学院に進んで研究をしたり、東海大学付属病院で「臨床研修プログラム」に参加する事もできます。

自由度の高い研究環境

東海大学医学部および大学院医学研究科では、講座医局制を全面廃止しました。これによって、教育・診療・研究のそれぞれの場面で縦割り構造がなくなり、とくに研究における自由度が飛躍的に高まりました。 「研究ユニット制」の採用により、診療分野にとらわれずに、各人の興味に沿って希望する研究ユニットに加わる事ができ、自由な発想で研究に取り組めます。また1年で複数のユニットに参加する事も可能です。

国際協力の専門家を養成する体制も充実

複数人が学習している様子

医学は、世界中の知性の蓄積によって進歩を遂げてきました。ですから最新の研究を進める上で、国際敵な視野に立ち海外の医学知識や医学情報を交換・吸収できる高度な語学力が必要となります。そのための語学学習の体制も充実させています。
また、WHO(世界保健機構)の要請を受け、1996年から「東海大学WHO協力21世紀保健指導者養成コース」を継続的に開講するなど、国際的な視野に立った活動も展開しており、本学大学院生もこのような取り組みに参加できます。


WRITE UP

前述のとおり、東海大学医学部のカリキュラムは「医学的知識や技術の修得」に加えて、以下の3点の育成に重点を置いています。

  • 専門家としての職業意識を持ったプロフェッショナリズム
  • ヒューマニズムに裏付けられたコミュニケーション能力・診療技術
  • 臨床問題解決能力

その根底には、これら3つの要素を兼ね備え、患者さんと真摯に向き合える医師こそが求められているという東海大学の信念があるのです。 別の言い方をすると、これらの要素を合わせて・・・

“良医の資質”

と言う事ができるでしょう。

良医の資質

東海大学医学部の6年間のカリキュラムそれは、細やかな「学習支援」の工夫までを含めて立体的に構築された「独自の工夫」が濃縮されたものなのです。