東海大学看護研究会が「第11回学術集会」をオンラインで開催しました

東海大学看護研究会が9月18日に、「第11回学術集会」をオンラインで開催しました。本研究会は、学校法人東海大学の看護教育機関である健康科学部看護学科(現・医学部看護学科)、医療技術短期大学(2021年度閉学)と、卒業生の多くが勤務する医学部付属4病院(付属病院、東京病院、大磯病院、八王子病院)の教員や看護職者が、連携の促進と学園全体の看護の質向上を図るため2011年度に創設。16年度からは看護師キャリア支援センターの教職員も加わり、毎年学術集会を開いています。今回は付属八王子病院が事務局を務め、「未来につなぐTOKAI看護 ~革新の先に~」をテーマに実施。約220名が参加しました。

初めに、大会長を務めた付属八王子病院の伊藤由美子看護部長が、「内閣府は、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムで経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会『Society5.0』を見据え、AIを活用した多様な技術・サービス開発によって医療の効率化や医療従事者の負担軽減を目指す『AIホスピタルプロジェクト』を推進しています。AIホスピタルは、私たちが生き生きと仕事ができる未来の姿であると認識しています。ぜひ活発に討議してください」とあいさつ。山田清志学長は、「大学でも遠隔授業の長所を生かしながら教員と学生の1対1の人間的交流に注力すべく務めており、本日のテーマはそれに通じる課題でもあると思います。今後の医療への貢献につながる議論を期待します」と語りました。

前半は、会員6名が研究発表、2名が実践報告を行い、活発な質疑応答や意見交換を展開しました。後半は、横須賀共済病院長の長堀薫氏が、「Society5.0時代に向けたヒトとAIが共生する、患者・スタッフに優しい病院」と題して基調講演。医療従事者の過重労働の削減と患者満足度の向上を目指して取り組んだ、独自の「AIプロジェクト」の実践事例や成果について説明し、「AIを活用したシステム構築に当たっては、現場のニーズを的確に開発者に伝えることが大切。情報技術を活用し、スタッフがより気持ちよく診療できる環境を整えたい」と語りました。

「看護実践者の挑戦 AI×看護が拓く未来」と題したシンポジウムでは、医療法人社団KNI北原国際病院の森口真由美氏、株式会社T-ICUの森口真吾氏、聖路加国際大学の亀井智子氏、医学部付属病院の西野隆一看護師長が、AIやIoT、ビッグデータを活用した看護の可能性や課題を紹介。これを受けて参加者が活発な意見交換を行い、「AIに対する懸念が払拭され、AI導入後の看護が楽しみになりました。今まで以上に、考える看護、個別的な看護が可能になると期待が高まりました」「人がAIをどのように活用していくかが課題。AIを看護の仲間と捉え、共存の道を探りたい」といった意見が出されました。

その後、看護学科長と4病院の看護部長による「20年後の東海看護師たちへ」と題したメッセージを動画で紹介。最後に、来年度の学術集会で事務局を担当する付属東京病院の鈴木秀美看護部長が、「多くを学び、考える機会になりました。社会の変化の波に乗り遅れないよう、アンテナを高くして日々の業務に向き合っていきましょう」と閉会の言葉を述べました。