医学部医学科の学生が「タイ研修」に参加しました

医学部医学科の5年次生6名が、2月18日から27日まで「タイ研修」に参加しました。本学科では、2015年8月にタイ公衆衛生省と医療分野を担う人材育成での連携に向けた覚書を取り交わし、16年1月には同国のチュラロンコン大学医学部と学術交流・学生交換に関する協定を締結するなど、タイの医療関連機関との連携を推進しています。この研修は、タイの保健医療システムや伝統医療、医療ツーリズムなどについて学んでもらうため、2010年度に4年次生の課外自主学外実習として開始。15年度から正式なカリキュラムに組み入れ、現在は5年次生を対象に実施しています。

一行は、初日にバンコク近郊の公衆衛生省を訪問し、タイの保健医療制度の現状や課題、新型コロナウイルスをはじめとする感染症の調査システムと対策、高齢化社会への対応、伝統医療に関する講義を受講。翌日は、予防医療を目的とした医療機関や老人介護センター、公的医療機関を見学しました。3日目以降は、赤十字のクイーンサバ―ン病院、医療ツーリズムで世界的に知られているバムルムラード病院、伝統医療を専門とするマヒドン大学シリラート病院応用伝統医療部門などを訪問しました。

学生たちは、「予防医療に対する考え方、伝統医療の重視、ホスピタリティーを持って質の高い医療を提供する医療ツーリズムといったタイの実情を知る刺激的な日々で、現場に身を置く大切さを実感しました。この経験を生かし、さらに視野を広げたい」「研修を通じて日本の医療についての理解も深められました。少子高齢化やグローバル化による日本の課題解決のヒントを得るために、地理的、社会的、経済的特性に合わせて構築された各国の多様な公衆衛生、医療制度についても学ぶ必要があると感じました。タイの実情を肌で感じられる学びの多い研修でした。ぜひ後輩にも参加してほしいと思います」と現地研修ならではの学びについて語りました。

また、「保健医療の政策やシステムは他国の成功例を当てはめるのではなく、それぞれの地域の人々を深く理解し、文化や宗教といった背景を考慮した上で構築すべきだと知りました。日本の公衆衛生を考えるための新たな視点を得ることができました」「将来は宗教や文化の異なる外国人の患者さんにかかわることになりますが、一人ひとりの背景を理解した上で医療を提供する大切さを学びました。また、専門分野に関する医療技術や治療法を海外で学ぶという選択肢について、真剣に考える一歩にもなりました」などと成果を強調。「日本の医療を海外に輸出する可能性についての知見を得たいと考えて参加しましたが、語学やITなどを駆使して世界と闘うタイの医師や経営者に圧倒されました。世界基準で活躍できる人材になるべく勉学に励みます」と意欲を見せていました。

指導する木ノ上高章准教授(基盤診療学系衛生学公衆衛生学)は、「5年次生はすでに公衆衛生学や漢方学を学んでいるため、タイの医療システムや伝統医療、医療ツーリズムなどについて、多様な視点から大いに吸収したようです。インターネットで何でも調べられる時代ですが、学生たちは現地に足を運んで実際に見聞きすることで強烈な感慨や印象を受け、今後の学修への糧を得たように思います。新型コロナウイルスの影響もあり、実施に当たってはさまざまな隘路がありましたが、効果的な研修を提供できたと思います」と話していました。