医学部付属八王子病院が「がん患者支援セミナー」を開催しました

医学部付属八王子病院が3月4日に八王子市保健所で、「働き世代の自分や家族が、がんになったときに知っておきたい知識」をテーマに、がん患者支援セミナーを開催しました。がんの当事者や家族をはじめ、多くの市民にがんに関する知識や患者支援制度について理解を深めてもらうため、地域の中核病院である本病院と東京医科大学八王子医療センター、八王子市の3者が初めて共催したものです。今回は、厚生労働省が定めた「女性の健康週間」(3月1日から8日)に合わせ、付属八王子病院の鈴木育宏副院長(医学部医学科外科学系乳腺・腫瘍科学教授)が講演。両病院に設置されている「がん相談支援センター」のスタッフによる個別相談会も行い、約160名が参加しました。

初めに、八王子市健康医療部の菅野匡彦部長が開催の主旨を紹介し、「2人に1人ががんになる時代です。今日は、がんとの共生について皆さんと考えたいと思います」とあいさつしました。

続いて登壇した鈴木副院長は、がんの原因や発症のメカニズム、部位別の発症率や進行ステージごとの生存率について説明。禁煙や運動、食生活といった発症リスクを軽減させるための生活習慣や、定期的な健康診断の受診による早期発見、早期治療の大切さを訴えました。また、自身の専門である乳がんを中心に、薬物・手術・放射線治療のメリットとデメリットや、支持療法(治療の副作用や合併症、後遺症による症状の予防やケアのための治療)について紹介。「いずれの場合も、医師や看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなどの専門職がタッグを組んで総合的に治療に当たります。医療従事者に任せきりにせず、説明をしっかりと聞いて、納得した上で治療に臨むことが大切です」と語りました。さらに、がん相談支援センターの役割や、医療費等の公的な支援制度についても紹介し、「治療法の選択や痛みの緩和、日常生活や仕事、経済的な悩みなど、困ったことがあったら遠慮せずに声をかけてください。がんと共生する社会を目指して、治療や支援に努めていきます」と結びました。

講演の終了後には、がん相談支援センターのソーシャルワーカーを中心とした個別相談会を実施。ロビーには両医療機関と八王子市、同市図書館がブースを設置し、がんの予防や治療、患者支援などに関する冊子の配布や書籍の紹介を行いました。また、同市内にある山野美容芸術短期大学 (美容福祉事業研究センター)のスタッフが、治療によって生じる外見変化に対するアピアランス相談にも応じました。 鈴木副院長は、「このセミナーは、病院内で患者さんを待つのではなく、院外で広く市民の方にがんについて知っていただくとともに、互いに学び合う機会にしたいと考えて企画しました。男女を問わず多く方に参加していただき、感心の高さがうかがえてうれしく思います。患者さんにはさまざまな医療資源や制度を活用し、いわば“患者力”を高めてがんと共生してほしいと願っています。これからも伴走者として患者さんの診療に努め、地域医療に貢献していきます」と話していました。