総合医学研究所とマイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)が12月16日に、伊勢原キャンパスで「第19回研修会」を実施しました。この研修会は、総合医学研究所が研究成果の学内外への発信や若手研究者の育成、他の学部や研究機関との連携促進を目的として2005年に開始し、3年前からMNTCと共同で開催しています。今回は、本研究所の所員による研究発表をはじめ、他大学や企業の研究者による講演、若手研究者のショートプレゼンテーションを実施。オンラインを併用し、医学部や工学部、理学部、生命科学統合支援センター等の教職員、学生、大学院生ら約90名が参加しました。
初めに、本研究所の森正樹所長(副学長・医系担当、医学部長)が、「皆さんがさまざま工夫や努力によって多くの研究成果をあげていることをうれしく思います。この研修会を機に新たな発想や連携が生まれ、本学の医科学研究がさらに進展するよう期待します」とあいさつしました。
前半は、本研究所の所員2名が最新の研究成果を報告。また、株式会社島津製作所分析計測事業部の南雲誠心氏と山口亮氏が、同社の歴史や産学連携研究の状況、開発したイメージングMS(光学顕微鏡内蔵型質量分析計)の概要を紹介しました。続いて稲津敏行副学長(理系担当)が、本研究所とMNTC、先進生命科学研究所の合同拠点として2023年1月に立ち上げた「次世代研究創成拠点(CNGR)」の目的や今後の展開について説明。「建学100周年を見据え、教員が研究に集中できる環境づくりや支援体制の強化、若手研究者の育成に注力し、CNGRを本学における研究の核として発展させていきたい」と語りました。
後半は、本研究所の所員2名の研究発表に続き、学生や大学院生、特定研究員ら若手研究者13名がショートプレゼンテーションを行いました。その後、大阪大学微生物病研究所の石谷太教授が、「魚が切り拓く先制医療研究」をテーマに特別講演。ゼブラフィッシュを用いた腫瘍発生メカニズムの解明や老化制御因子の探索に関する研究成果を紹介しました。最後に、参加者の投票により決定した「ショートプレゼンテーション・アワード」の受賞者3名を発表し、森所長が記念品を贈呈しました。
※当日のプログラムは以下のとおりです。
【開会のあいさつ】
◇森 正樹(総合医学研究所長/副学長・医系担当/医学部長)
【発表者とテーマ】
◇酒井大輔(総合医学研究所/医学部医学科外科学系整形外科学領域准教授)
「ミトコンドリア活性酸素の蓄積と椎間板変性:腰痛治療の新たな標的」
◇岡 晃(総合医学研究所/医学部医学科基礎医学系分子生命科学領域講師)
「摂食障害発症機序解明へ 新たなパラダイムの創出」
◇南雲誠心氏(株式会社島津製作所分析計測事業部)
山口 亮氏(同上)
「お客様と島津との産学連携、その成果であるイメージングMSのご紹介」
◇稲津敏行(副学長・理系担当)
「東海大学次世代研究創成拠点の紹介と展望」
◇細川裕之(総合医学研究所/医学部医学科基礎医学系生体防御学領域准教授)
「T細胞の初期発生を制御するステージ特異的な転写因子複合体と液相分離」
◇津川 仁(総合医学研究所/医学部医学科基礎医学系生体防御学領域講師)
「菌体外膜小胞を利用した消化管内Pathobiontのバクテリアルトランスロケーション」
【特別講演】
◇石谷 太氏(大阪大学微生物病研究所教授)
「魚が切り拓く先制医療研究」
【ショートプレゼンテーション・アワード受賞者】
1位:白井大喜(大学院工学研究科機械工学専攻修士課程2年次生)
「精子形成機序解明に向けた精巣培養ライブイメージング用システムの開発」
2位:内田 頼(大学院工学研究科応用理化学専攻修士課程1年次生)
「撥水性ナノ薄膜の大量調製法の確立とカバーガラスフリー生体深部イメージング」
3位:椿 翔吾(医学部医学科4年次生)
「消化管内共生病原菌Klebsiella pneumoniaeの菌体外膜微粒子が送達するsmall RNAによる宿主免疫撹乱」
【閉会のあいさつ】
松阪泰二(総合医学研究所次長/医学部医学科基礎医学系生体機能学領域教授)