山下泰裕教授が秋学期から武道学科の授業に復帰します

体育学部武道学科の山下泰裕教授が今秋学期から教員としての業務に復帰し、本学科開講科目である「柔道論」の授業の一部を11月から担当します。

山下教授は2023年10月、家族と休日を過ごしている際に転倒して頚髄を損傷。本学伊勢原キャンパスの医学部付属病院で手術を受けた後、約2年間にわたってリハビリに努めてきました。「けがをした直後は絶対安静の状態で、最初の3カ月は1日1日を生きるのが精いっぱいでしたが、医療機関の皆さんのご尽力や家族の支えなどがあり徐々に回復していくことができました。依然として手足の自由は利きませんが、約1年前から専門の病院で社会復帰に向けたリハビリに取り組み、大学の会議にもオンラインで出席できるまでになりました」と振り返ります。

今回約10年ぶりに担当する『柔道論』の授業に向けて、「日本オリンピック委員会会長など学外での役職を務めていたため教壇からはしばらく離れていましたが、学科の先生方のご配慮もあり全体のうちの数コマの授業ではありますが、学生たちに直接授業を行う機会を得ました。できるだけいいコンディションで学生たちと向き合い、忌憚のないやりとりができるよう準備を進めているところです」と話します。学生たちに向けて、「若い時には失敗が許されます。私だけでなく、多くの人たちが失敗から学んだことを人生に生かしています。失敗を恐れず、自分の夢や可能性を信じてチャレンジを続けることが肝要です。学園の創立者・松前重義先生は、国際交流、友好親善、相互理解、世界平和が大切であると私に教えてくださいました。学生たちには、内向きになることなく、社会に、世界に目を向けてほしい。私自身、今後も東海大学の教員としてさまざまな場面で発信を続けていきます」とメッセージを送っています。

山下教授略歴

1957年熊本県生まれ。東海大学体育学部武道学科79年度卒業、同大学院体育学研究科82年度修了。1984年に開かれたロサンゼルス五輪の柔道無差別級で金メダルに輝き、同年10月に国民栄誉賞を受賞。85年の現役引退後は本学教員に着任し、男子柔道部監督などを務めて後進の指導に当たってきたほか、学校法人東海大学理事や本学副学長として大学運営にも従事。国際柔道連盟理事といった要職も歴任し、2017年に全日本柔道連盟会長やJOC常務理事、選手強化本部長に就任。19年6月からJOC会長、20年1月から国際オリンピック委員会(IOC)委員を務めるなど国内外のスポーツ界を牽引してきました。