体育学部の教員で組織する学校保健体育授業研究会が、3月15日に湘南キャンパス7号館とサッカー場で「第8回学校保健体育授業研修会」を開催しました。この研修会は小・中・高校の教員や特別支援学校の教員、学生らを対象として、保健体育に関する最新の情報を発信する機会として、例年開催しているものです。昨年までは「学校体育授業研修会」という名称でしたが、今年は「学校保健体育授業研修会」としました。本研修会を中心となって運営する大越正大准教授(体育学部)は「保健と体育は本来並列に位置づく科目・分野ですが、教育現場では保健軽視の傾向が見られます。こうしたことから、今回名称を変更するとともに、学会設立を目指している保健科教育研究会とタイアップし、保健と体育の両面に着目した研修会を企画しました」と話します。
100人以上が参加した研修会では、はじめに学校保健体育授業研究会の今村修会長(体育学部長)が「東京オリンピック招致が決まり、保健体育科教育にも追い風が吹いています。現在学習指導要領の改訂の動きが急速に進んでいますが、教育の根本を変えてはいけません。今日は日本の保健体育科教育を牽引している先生方が講演してくださいますので、ぜひ参考にしてください」とあいさつしました。午前中の基調講演では国立教育政策研究所基礎研究部の今関豊一部長と文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課の森良一教科調査官より、現在の保健体育教育の問題点や、国が進めている教育の方向性などが話されました。その後、体育学科の岡﨑勝博教授が、「すぐに使える!保健学習の進め方」と題して、実際の教材などを使用した指導方法について講義を行いました。
午後は体育学科の小澤治夫教授が体育教材についての講義を行い、その後会場をサッカー場へと移し、ゴール型球技における守備練習の教材化と2009年に小澤研究室で考案した「ザースボール」という下位教材の紹介を、模擬授業を通じて行いました。ゴール型球技における守備練習ではサッカーのゴールキーパーに着目した学習教材を披露。敬遠されがちなゴールキーパーを、初心者でも恐怖心なく楽しく学習できるような工夫を紹介し、多くの教員に細かなアドバイスを送りました。ザースボールでは開会式から実際の試合、閉会式まで行い、スポーツ教育の意義と魅力を伝えました。
閉講式では、学校保健体育授業研究会の積山和明副会長(体育学部長補佐)が、「いくつになっても学ぶことをやめてしまったら、教える立場もそこで終わりです。昨年、今年と同じ指導を来年も行っていては生徒の変化や教育の流れについていけません。学んだことをぜひ現場で生かしてください」と締めくくりました。