講演会「ロシア・ウクライナ戦争における情報戦・サイバー戦」を開催しました

政治経済学部政治学科では7月4日に湘南校舎で、講演会「ロシア・ウクライナ戦争における情報戦・サイバー戦」を開催しました。藤巻裕之教授が担当する授業「国際政治学」の一環で、教科書には載っていない国際社会で現実に起こっている新しい戦争の現実を伝えようと企画したもの。元海上自衛隊海将補でサイバー企画調整官などを歴任した本学平和戦略国際研究所の佐々木孝博客員教授が講師を務め、学生約170名が参加しました。

佐々木客員教授はまず、プーチン大統領が就任した2000年にロシアの国家安全保障構想(コンセプト)が制定され、01年のアメリカ同時多発テロや14年のウクライナ危機などを受けて改定を繰り返し、21年に現在の新「国家安全保障戦略」が制定されたことを説明。新国家安全保障戦略の特徴とロシア・ウクライナ戦争について考察するとともに、世界各国、地域で構成されるさまざまな情報圏とプロパガンダの実態を解説し、「日本が含まれる米英情報圏では米英に、中国情報圏では中国・共産党政府に、ロシアではロシア政府に都合のいい情報が流されており、対立する情報圏を比較すれば、その矛盾からどちらが事実か見えてくる」と語りました。また、ロシアのウクライナ侵攻について、「プーチン氏がウクライナ東部での『特別な軍事作戦』の実施を発表した2月24日以降、通信衛星KA-SATがサイバー攻撃を受け、欧州諸国まで被害が及んでいます。また、ウクライナ・キーウのテレビ塔をミサイル攻撃する前にテレビ関連メディアにはサイバー攻撃を仕かけるというように、主要な軍事攻撃の前後にサイバー攻撃が行われています」と話しました。一方で、「SNSが普及したことで、戦場の様子がリアルタイムに伝えられるとともに、メディアに流れるニュースのファクトチェックにも活用されている」と話し、ゼレンスキー大統領の投稿などを紹介。「ロシアはサイバー戦などあらゆる手段を使ったハイブリッド戦を展開していますが、ウクライナと同国を支援する西欧諸国は的確に対応しており、市民のSNSも大きな武器になっている」とまとめました。

終わりにはグループごとに、講演での学びなど気づきを話し合いました。学生からは「ロシアの安全保障上の優先順序を教えてください」といった質問が多く上がり、佐々木客員教授が丁寧に回答しました。