化学科の関根教授が群馬県高崎市との共同研究に取り組んでいます

理学部化学科の関根嘉香教授が、群馬県高崎市からの委託を受け梅の体臭改善効果に関する共同研究に取り組んでいます。同市は東日本一の生産量を誇る梅の名産地ですが、近年は生産者の高齢化や後継者不足などにより生産量が減少しています。同市では、新たな梅の振興策を検討する中で加齢臭などの体臭改善効果に着目。体臭(皮膚ガス)研究の第一人者である関根教授が共同研究の依頼を受け、湘南キャンパスを拠点に梅の成分分析や体臭改善への活用方法の検討などを行います。

「皮膚ガス」は人の皮膚から発生し、血液中の化学物質が揮発して直接出る「血液由来」、血液から汗腺を経由して放散する「皮膚線由来」、皮膚表面で生成して放散する「表面反応由来」の3種類に分類されます。梅に多く含まれるポリフェノールには「表面反応由来」による加齢臭の改善効果が認められていることから、関根教授の研究室では、梅を食べた際の体臭の変化や、同市で作られている梅干し、梅エキスといった商品の成分を分析に取り組みます。関根教授は、「体臭の改善に効果があるとされる食べ物は多くありますが、経験則で語り継がれてきたものばかりで、科学的根拠が示されているものはほとんどありません。人が梅を食べることで皮膚ガスがどのように変化するのか分析し、既存の商品を用いた改善方法などを提案することで高崎市産の梅のブランド価値向上に貢献したい」と話しています。

研究室ではこの夏から、予備実験として学生を対象に梅干しを食べた際の皮膚ガスの変化を検証。関根教授が企業との共同研究で開発した皮膚ガス測定の小型デバイス「パッシブ・フラックス・サンプラー」を用いて、体臭の原因となる皮膚ガスの濃度を測定しています。研究室に所属する金森郁夫さん(理学部化学科4年次生)は、「現状の検証結果からは梅干しを1日1粒食べることで皮膚ガス濃度が変化する傾向が見られますが、被験者の体調など個人差もあるため、さらにデータを収集する必要があると考えています。類似の研究事例がないので手探り状態ですが、新しい研究に取り組む楽しさを感じています」と意欲を見せています。