大学院理学研究科の金子さんと神永さんが「第38回プラズマ・核融合学会」で若手学会発表賞を受賞しました

大学院理学研究科物理学専攻2年次生の金子新さんと神永啓希さん(指導教員=理学部物理学科・利根川昭教授)が、11月22日から25日までオンラインで開かれた「第38回プラズマ・核融合学会」で若手学会発表賞を受賞しました。同賞は正会員部門と学生会員部門に分かれており、4つのトピックスごとに受賞者が選出されます。今回は学生会員228件のうち、14件が選ばれました。

金子さんは、「非接触プラズマに暴露したタングステンの表面改質と重水素吸蔵量の計測」をテーマに研究成果を発表しました。核融合装置の不純物排気に用いられる機器「ダイバータ」にプラズマが流入する際、燃料粒子が金属に吸蔵する課題の解決策として、利根川研究室のプラズマ生成装置「TPDsheet-U」を用いた非接触プラズマを活用する手法を考案。表面改質と重水素吸蔵量の計測結果をまとめました。「学部生のころは研究していなかった材料系のテーマに、大学院修士の2年間で取り組んできました。一から積み上げてきた成果を評価していただきとてもうれしい。利根川先生はもちろん、協力してくださった工学部の先生方や研究室の先輩、実験を手伝ってくれた同期や後輩に感謝したい」と感想を述べました。

神永さんは、「シートプラズマを用いた非セシウム型負イオン源における負イオン生成条件の最適化」と題して発表。太陽光や風力による発電と異なり、多様な条件下でも継続的な電力生成が可能な「ベースロード電源」として期待されている核融合発電には、プラズマを1億度まで加熱する必要があります。今回は、加熱に用いられる中性粒子ビームのもととなる負イオン源を、東海大学独自の技術である「シートプラズマ」を用いて効率的に生成する手法を発表しました。研究を振り返り、「大学院の2年間はコロナ禍により制限も多かったけれど、家でもできるシミュレーションや加熱装置の設計などを進めてきました。先輩から引き継いだ研究なので、ベースアップさせた成果を学会で評価していただきとてもうれしく思います」と語りました。

また、神永さんは大学院在籍中に2件の国際ジャーナルに論文が掲載されました。2020年11月には『Review of Scientific Instruments』に論文「Characteristics of extracted ion beam from a cesium-free negative ion source using sheet plasma」が、21年7月には『Fusion Engineering and Design』に「Characteristics of co-extracted electron beam current in sheet plasma-type cesium-free negative-ion source」が掲載されました。それぞれの論文では、負イオン源生成時に発生する電子を減らすために、電極や磁気フィルターの改善・活用方法についてまとめています。論文は以下URLよりご覧いただけます。